日本植物病理学会報
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33 巻 , 1 号
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  • 森 義忠
    1967 年 33 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    筆者はホップべと病の第一次伝染源として従来考えられていた植物遺体内の卵胞子のほかに根株内の越年菌糸が重要なこと,感染方法としては気孔のほかに皮目による侵入があることを明らかにしたが,この報告では,傷口からの侵入によつても感染がおきることを明らかにした。傷口からの感染はナイフによる平滑な切断面よりも引き裂いた粗断面の方が,また苗では下部より上部におこりやすい。分生子柄は断面の皮層,篩部に生ずるが髄には生じない。芽節を切断した場合は断面の周囲に輪状に,あるいは下に広く上に狭い長円形に,分生子柄がつくられる。芽節を引き抜いたときはその痕に胞子形成が行なわれた。以上の知見から本病の防除は株拵え,選芽後の傷口感染防止を含めて行なうことが必要であると考えられる。
  • 松浦 一穂
    1967 年 33 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    synchronous sporeを得る目的で確立したsponge matrix法を胞子形成阻害試験に応用した。この方法によればいもち病菌Piricularia oryzaeの胞子形成に対する各種殺菌剤の阻害作用が容易に判定できる。薬量(I)と胞子形成を50%阻害するに要する浸漬時間(t)との関係は,式(I)nt=C(nCは定数)によく適合することが判明した。
    この結果を,温室内および圃場での宿主体の病斑を用いた試験結果と比較してみると,sponge matrix試験の浸漬時間を変えることにより,宿主体病斑の胞子形成に与える殺菌剤の影響を類推することができた。
  • 田部井 英夫
    1967 年 33 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病病原細菌の新しい寄主体侵入経路として,病原細菌がイネ苗の鞘葉および本葉葉鞘部の気孔から侵入し,柔組織の細胞間隙および細胞間空腔部で増殖する事実を圃場の苗で発見し,人工接種によりこれを証明した。
    病原細菌は維管束を侵さないので,発病することなく保菌状態が維持される。したがつてこれが発病に結びつくためには一度体外に出て,あらためて排水組織からの感染が必要であろう。
    鞘葉の気孔はすべて特殊な形態で,常時開口している。本葉葉鞘部の気孔は開口状態のものが正常な気孔の中に混在し,その分布は葉鞘基部に比較的多い。このような形態上の差が,病原細菌の侵入に関係すると考えられる。
    この保菌現象は特異的なものではなく,他の植物病原細菌との間でも認められる非特異的なものである。
    発生地の苗代のいわゆる“保菌苗”でもこの寄主体侵入経過を再確認することができた。
    以上の寄主体侵入経過はイネ白葉枯病の新しい伝染環の一を示すもので,これにより従来不明確であつた苗代期における病原細菌の行動が明らかになつた。
  • 内藤 中人, 谷 利一
    1967 年 33 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンバク冠さび菌(Puccinia coronata Corda)の夏胞子をワーブルグ検圧計フラスコ内で発芽させ,発芽にともなう呼吸の推移をしらべた。
    1. 蒸溜水上のQo2は全般的には浮遊後しだいに下降するが,胞子密度の低い正常発芽では浮遊2時間ごろ一時的に上昇する。発芽初期のRQは0.48∼0.66であるが,発芽管伸長停止期には1.04に上昇する。
    2. 一般に蒸溜水上の胞子密度が小さいほど,また発芽率の高いものほどQo2が大きい。これは胞子内におけるself-inhibitorの動向にもとづくようである。
    3. 発芽管伸長停止期に各種呼吸基質を添加しても,こはく酸がいくぶんQo2を促進するだけである。
    4. 供試した酵素阻害剤のほとんどがQo2を低下させ,2,4-ジニトロフェノールはいくぶん促進傾向を示す。
    5. ペラルゴン酸とカプロン酸は明らかにQo2を促進するとともに,発芽のself-inhibitionをいちじるしく軽減する。
  • 桂 〓一, 宮田 善雄, 宮越 盈
    1967 年 33 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    疫病菌遊走子の走性現象の解析上,遊走子の泳ぎ集まる状態(集泳状態)を的確に把握する必要に迫られ,暗視野照明装置と照度計を組合わせた新しい測定法を案出した。暗視野照明のためには,ニコン干渉位相差装置の輪状しぼりを利用し,また,照度計として顕微鏡写真用露出計を代用した。暗視野照明下において,遊走子は輝く粒子として認められるから,その光量を照度計により測定し,時間的あるいは位置的に,その変動を調らべ,遊走子の集泳状態をグラフ上に曲線として表わしたものである。スライドグラスとカバーグラスを組合わせた小さな観察用セル中に,遊走子けんだく液を満たし,植物根,白金電極または植物汁液を充填したガラス細管を挿入して,各場合に起る様々の遊走子集泳状態について,本法を応用し,ほぼ満足すべき結果を得た。今後は本法を実際に用いて,遊走子の走性のメカニズムの解明に役立てることになろう。
  • 田村 実, 小室 康雄
    1967 年 33 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 金沢市内および郊外においてアジサイ(四季咲)のモザイク症状株を2株採集した。
    (2) 病徴は典型的なモザイク症状を呈し,葉は小型になり,また奇形症状を呈した。これら病株から汁液接種により容易に伝搬されるウイルスが分離された。
    (3) その病原ウイルスは,その寄主範囲,物理的性質などから,また抗CMV血清との沈降反応,径30mμ内外の球状粒子がみられることなどからCMVの1系統によるものと判断された。
    (4) 主としてアジサイに着生しているアブラムシ6種のうち,モモアカアブラムシ,ハゼアブラムシおよびイバラヒゲナガアブラムシの3種による伝搬が確認された。後2者は本試験によつて初めて媒介昆虫であることが明らかにされたものである。
    (5) CMVが自然状態のアジサイから分離されたことおよびCMVがアジサイに病原性をもつことに関する報告としては本報が最初のものである。
  • 1967 年 33 巻 1 号 p. 31
    発行日: 1967年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 哲郎, 関沢 泰治, 小田 信
    1967 年 33 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. イネ白葉枯病菌7系統および同属5種の菌について無機態硫黄源の利用性につき実験した。
    2. イネ白葉枯病菌7系統(その中1系統の単細胞分離菌を含む)およびミカン潰瘍病菌は長い誘導期間の後に硫酸根を無機態硫黄源としてある程度利用するが,急激な増殖の開始には含硫アミノ酸が必要であることを再確認した。
    3. 同属のワタ角点病菌,モモ穿孔性細菌病菌,インゲン葉焼病菌およびトマト斑点性細菌病菌は硫酸根を無機態硫黄源としてよく利用し得る。
    4. 有機態硫黄源の利用性からミカン潰瘍病菌,モモ穿孔性細菌病菌およびインゲン葉焼病菌にはS-スルフォシスティンからメチオニンに至る含硫アミノ酸代謝系の存在が推定される。
    5. イネ白葉枯病菌,ミカン潰瘍病菌およびモモ穿孔性細菌病菌は硫酸根を無機態硫黄源として利用する場合,ニコチン酸アミドの存在により増殖が高まることがあるので,ニコチン酸アミドの生成能ひいては硫酸根還元酵素の助酵素部分におけるニコチン酸アミドの関与が推察された。
    6. イネ白葉枯病菌の系統による病源性あるいはファージ感受性と無機態硫黄源利用における誘導期の長さあるいはL-システィン要求性との間に関連性を認め難い。
  • 井上 忠男
    1967 年 33 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    和歌山県印南町附近に栽培されるオランダ,絹莢,ウスイなどのエンドウやソラマメに多発する1種のモザイク病から病原ウイルスを分離し,諸性状を調べたところ,既知のものとは異なるウイルスであることが判明した。本報は,これをエンドウ種子伝染モザイクウイルス(Pea seed-borne mosaic virus)として記載したものである。
    エンドウにおける病徴は葉の捲曲,淡色化が著るしい特徴であり,モザイク,矮化の病徴も一般に見られる。病原ウイルスは汁液接種可能であり,マメアブラムシ,モモアカアブラムシなど4種のアブラムシで伝搬される。エンドウでの種子伝染は卅日絹莢,仏国大莢などの品種で約8%であるが,オランダ種では高く,約30%に達する。病葉搾汁中のウイルスの耐熱性は55∼60°C, 10分,希釈限度は10-3∼10-4倍,保存限度は20°Cで4∼8日である。エンドウ,ソラマメ,スイートピー,コモンベッチ,ヘアリーベッチ,レンゲに全身感染し,ツルナおよびC. amaranticolorに局部病斑を生ずる。また,インゲンの2, 3の品種の接種葉に,まれに少数の局部病斑を生ずるが全身感染しない。この他のインゲン品種をはじめ,供試したマメ科15種,マメ科以外の9科18種の植物は感染しなかつた。本ウイルスは長さ750mμ,径約13mμのひも状粒子であり,クロロホルム処理後分画遠心により部分精製できる。Bean yellow mosaic virusの壊疽系分離株に対しては陽性の干渉効果が認められたが,普通系分離株に対しては逆の結果が得られた。寄主範囲や病徴,さらに種子伝染性から,このウイルスがBYMVに属するとは判断し難いだけでなく,既知の諸ウイルスとは異なるものと結論した。
  • 高梨 和雄, 斎藤 康夫, 岩田 吉人
    1967 年 33 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) コムギ縞萎縮病(WYMV)およびオオムギ縞萎縮病(BYMV)ウイルスの人工接種による発病株率を向上させるため,接種源として用いる病葉汁液のウイルス活性について検討を行なつた。
    (2) WYMV, BYMVの病葉を磨砕するとき,リン酸緩衝液に酸化酵素阻害剤のKCN, Na-DIECA, Na-azideを加用した汁液で摩擦人工接種すると発病株が増加した。ことにこれらの阻害剤の加用による効果は,頂葉よりも下位葉を接種源とするとき明らかであり,また,人工接種によつて発病率の低い時期に大きくあらわれた。
    (3) 病葉磨砕時にリン酸緩衝液に酸化酵素基質物質のpyrocatechol, hydroquinoneを加えた病葉汁液を接種源とすると,WYMVでは明らかに発病株率が低下し,BYMVでは発病がおこらなかつた。
    (4) WYMV病葉汁液からの粗酵素液はポリフェノール酸化酵素の活性を示し,また,磨砕時にNa-DIECAを加用した病葉汁液を粗酵素液とした場合は,この酵素活性が阻害された。
  • 佐久間 勉, 冨山 宏平
    1967 年 33 巻 1 号 p. 48-58
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    抵抗性遺伝子R1をもつジャガイモ塊茎組織を厚さ0.5mmのスライスにして,非親和性疫病菌レースの濃厚な胞子液を接種すると,その本来の抵抗性を失なつてしまう(低濃度胞子液では抵抗性を失わない)。この実験結果から感染部の隣接組織でフェノール化合物その他の物質が生産されて,それが感染部へ転送されて疫病菌の進展阻止に役立つものと推定した。(前報告)
    もしこの推定が真実ならば抵抗性を失なつた薄片濃厚感染スライスは外部からフェノール化合物を与えることによつてその抵抗性を回復することが期待される。この点を確めるためにここに報告する諸実験を行なつた。実験結果は上記の推定を証明し,かつこれらのフェノール類は壊死組織でのみ強い菌進展阻止効果を示し,親和性レースを接種した共生的罹病組織では阻止効果をほとんど示さなかつた。フェノール化合物の分析結果は非感染ならびに感染組織でその含量が菌進展阻止に必要とされる濃度よりはるかに低いことを示した。これらの結果は前報でのべた菌の進展を阻止するために約10∼15細胞層に及ぶ隣接健全組織を必要とし,且つその組織でフェノールが生産されて被害部に沈着するものであろうという推定に一致するものである。感染細胞を囲む細胞群からそのo-ヂフェノールの一部が壊死細胞に移動沈着することによつて菌の進展を阻止し始める濃度に達し得ることを理論的に示した。
    以上に述べたフェノール化合物という言葉はここでは健全植物に含まれる通常のフェノール化合物のみを示し,フェノール性ファイトアレキシンおよびクマリン化合物を含まない。ただしファイトアレキシン,クマリン化合物の抵抗性における意義を否定するものでは絶対にない。
  • 斎藤 康夫, 岸 国平
    1967 年 33 巻 1 号 p. 59-60
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 平井 篤造
    1967 年 33 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Under the United States-Japan cooperative science program, the conference on “The dynamic role of molecular constituents in plant-parasite interaction” was held at Hotel Gamagori, Aichi Prefecture on May 15-21, 1966. The following papers were read at the conference.
    Changes in cytoplasm and cell wall material
    Akai, S.: An anatomical approach to the mechanism of fungal infections in plants. (Kyoto University)
    Bushnell, W.R.: Symptom development in mildewed and rusted tissues. (ARS, US Dept, of Agric.)
    Tani, T.: The relation of soft rot caused by pathogenic fungi to pectic enzyme produced by the host. (Kagawa University)
    Bateman, D.F.: Alteration of cell wall components during pathogenesis. (Cornell University)
    Solute and water relations during infection
    Durbin, R.D.: The influence of disease on the movements of solutes and water in plants. (ARS, US Dept. of Agric.)
    Dimond, A.E.: Physiology of wilt disease. (Conn. Agr. Exp. Sta.)
    Metabolic shifts during infection
    Mirocha, C.J.: Carbon dioxide fixation in the dark as a possible nutritional factor in parasitism. (University of Minnesota)
    Daly, J.M.: Metabolic consequences of infection in obligate parasitism. (University of Nebraska)
    Toxins of host and parasite in the infection process
    Tomiyama, K.: The role of polyphenols in defense action of plants induced by infection. (Hokkaido Agr. Exp. Sta.)
    Kuc, J.: Shifts in oxidative metabolism during pathogenesis. (Purdue University)
    Scheffer, R.P.: Effects of pathogen produced metabolites in host metabolism and symptom development. (Michigan State University)
    Tamari, K.: Biochemical response of plants to toxins produced by pathogenic fungi. (University of Tohoku)
    Oku, H.: Role of parasite-enzyme and toxin on development of characteristic symptoms.(Sankyo Agr. Chemicals Res. Lab.)
    Biochemistry of virus infection
    Misawa, T.: Changes of nuclear contents of host-cells infected by virus. (University of Tohoku)
    Hirai, T.: Mitochondrial activities of tobacco mosaic virus-infected tobacco detached leaves, the possible source of energy for virus multiplication. (Nagoya University)
    Takahashi, W.N.: The biochemistry of virus multiplication in plants. (University of California)
    Suzuki, N.: Biochemistry of RNA of rice dwarf virus. (Inst. for Plant Virus. Res.)
    Protein metabolism in the host
    DeVay, J.E.: Effect of common antigen on host-parasite interactions. (University of California)
    Akazawa, T.: Change in chloroplast proteins of plant after infection. (Nagoya University)
    Uritani, I.: The relation of metabolic changes in infected plants to changes in enzymatic activity. (Nagoya University)
    Stahmann, M.A.: Influence of host parasite interactions on proteins and enzymes. (University of Wisconsin)
  • 平井 篤造
    1967 年 33 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 1967/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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