抄録
供試植物はCMVにタバコ(Ky-57)を,TMVにはトマトおよびグルチノーザを用い,化学構造の明らかなチャのカテキン4種の全身感染ならびに局部感染に対する阻害作用を検討した。
1. CMVの全身感染に対するカテキン処理の作用は,水溶性たん白と結合作用の小さい遊離型((-) EC, (-) EGC)に比べ,結合作用の大きいエステル型の(-) ECg, (-) EGCgの効果が顕著で,30日後も病徴を認めなかった。
2. TMVの全身感染に対するカテキンの作用は,(-) EC, (-) EGCには阻害効果は認められなかった。しかし,エステル型の(-) ECgと(-) EGCg処理では全身感染ならびに局部感染による病徴はあらわれず,阻害効果が認められた。
3. エステル型の(-) ECgならびに(-) EGCgの添加量が病斑形成に及ぼす影響は,いずれの実験でもカテキン量が増すにつれてlocal lesionは急激に減少を示し,0.5%になるとその形成は認められなかった。