日本植物病理学会報
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37 巻 , 1 号
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  • 安田 康, 片岡 正明, 細辻 豊二, 野口 照久
    1971 年 37 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコモザイクウイルス(TMV)感染による局部病斑形成を顕著に阻止するシトリニンによって,タバコおよびグルチノーザ葉内のウイルスの増殖が阻害された。シトリニンの100ppm溶液にタバコ葉ディスクを48時間浮かべた場合,TMVの増殖量は30%まで減少した。処理葉内のTMVの増殖率は処理時間を長くするにしたがって低下したが,同葉内で増殖したウイルスの感染性は無処理葉内のそれと変わらなかった。またグルチノーザ葉内のTMVの増殖率を14C-アミノ酸のとりこみでしらべた場合でも,同様にシトリニン処理によって,ウイルスの増殖の阻害が認められた。
    シトリニンの感染葉における核酸合成に対する影響をMAKカラムクロマトグラフィーおよびディスク電気泳動法によって検討した。MAKカラムクロマトグラフィーのパターンから,シトリニンは感染タバコおよびグルチノーザ葉のsRNA, DNA-likeRNA,および18S rRNAのいずれの合成をも阻害しないが,TMV-RNAを含む28S rRNAの分画への標識ウリジンのとりこみを抑制することが示された。またディスク電気泳動法による分析の結果,シトリニンを低濃度で処理した場合でも,タバコ葉のRNA合成は幾分阻害された。シトリニンは低濃度でも28S rRNAの合成を抑制するが,高濃度では28S rRNAおよびTMV-RNAの両合成を阻害することが結論された。75ppmのシトリニンはグルチノーザ葉上の局部病斑形成を完全に阻止するが,ウイルスの増殖を約50%しかおさえなかった。これらのことから,シトリニンの病斑形成に対する阻止効果はウイルスの増殖に対する効果よりも,むしろリボゾームの機能を抑制することと関係があるものと推定された。
  • 土崎 常男, 與良 清, 明日山 秀文
    1971 年 37 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. アズキでは種子伝染するウイルスとしてアズキ・モザイク・ウイルス(AzMV),種子伝染しないウイルスとしてキュウリ・モザイク・ウイルス(CMV),ササゲ・モザイク・ウイルスの2系統(CAMV-1, CAMV-3)を用い,ササゲでは種子伝染するウイルスとしてCAMV-1, CAMV-3,種子伝染しないウイルスとしてサブクローバ・モットル・ウイルス(SMV)を用い,胚感染と種子伝染との関係を調べた。
    2. 生育初期にウイルスに感染したササゲおよびアズキでは種子伝染するvirus-hostの組合せの場合にだけ未熟胚からウイルスが検出された。また未熟胚からウイルスが検出される場合に,未熟胚中のウイルス濃度が高い胚と低い胚とがあることが示された。そして未熟胚中に高濃度のウイルスが検出される率はそのvirus-hostの組合せにおける種子伝染率に近かった。
    3. 未熟種子から未熟胚だけを取り出し,殺菌土壌に播き,発芽,生育してくる幼植物について発病の有無を調べたところ,種子伝染するvirus-hostの組合せでだけ,それぞれの種子伝染率に近い発病率が認められた。またウイルスが高濃度に含まれていることが示された未熟胚から生じた幼植物においてだけ発病が認められた。
    4. 開花期のササゲとアズキにCAMV-1とCAMV-3を接種し,未熟胚からウイルスの検出を試みたところ,種子伝染するCAMV-1-ササゲ,CAMV-3-ササゲの組合せでだけ低濃度のウイルスが検出された。このことから種子伝染するvirus-hostの組合せで,未熟胚に含まれるウイルスが低濃度の場合には,そのウイルスは胚の発育中に親植物体から直接感染したものであると考えられた。
    5. 健全なアズキおよびササゲの未熟胚,完熟胚に各種ウイルスを接種したところ,供試したすべてのvirus-hostの組合せで胚のウイルス感染が認められたが,とくに未熟胚の場合,感染率はかならずしも高くなかった。またウイルスに感染したアズキ,ササゲから未熟胚をとり,これに汁液接種した場合も同様の結果が得られた。また,植物体に着生したままの未熟胚にウイルスを汁液接種し,その後植物体上で完熟させたところ,きわめて低率にしかウイルス感染はおこらなかった。
    6. これらの結果から,発育中の未熟胚が親植物体から直接にウイルス感染を受けない,または受けにくいのは,未熟胚がウイルス感染に抵抗性であること,親植物体からウイルスの移行が困難であること,の二つの理由にもとづくものと推定した。
  • 土崎 常男, 日比野 啓行
    1971 年 37 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. ササゲとアズキにおいて種々の種子伝染率を示すvirus-hostの組合せ,および種子伝染しないvirus-hostの組合せを用い,花芽生長点におけるウイルスの存在状態を,生長点先端から0.2-0.3mm付近で切断した花芽につき,超薄切片法により電顕観察を行なった。
    2. ササゲの品種在来つる無金時で低率の種子伝染するササゲ・モザイク・ウイルス(CAMV)の系統CAMV-1と,かなり高率の種子伝染するCAMVの系統CAMV-3につき花芽生長点を電顕観察したところ,ともに生長点先端から0.1-0.2mm離れた組織からウイルス粒子,封入体がかなりの頻度検出され,しかもその頻度はCAMV-3の方がCAMV-1よりやや高かった。
    3. ササゲの品種黒種十六でごく低率の種子伝染するCAMV-1と,かなり高率の種子伝染するCAMV-3につき花芽生長点を電顕観察したところ,CAMV-1では生長点先端から0.2mm離れた組織からきわめて低い頻度でウイルス粒子,封入体が検出された。CAMV-3では生長点先端から0.1-0.2mm離れた組織からウイルス粒子,封入体がかなりの頻度検出されたが,その頻度はCAMV-1, CAMV-3に感染した在来つる無金時より低かった。
    4. アズキ(大館2号)で6%前後の種子伝染を示すアズキ・モザイク・ウイルス(AzMV)と種子伝染しないCAMV-3につき花芽生長点を電顕観察したところ,ウイルス粒子,封入体はAzMVでは生長点先端から0.1-0.2mm離れた組織からかなりの頻度で検出されたが,CAMV-3では0.2-0.3mm離れた組織にもまったく検出されなかった。AzMVで検出されるウイルス粒子,封入体の頻度は在来つる無金時/CAMV-1の場合に近かった。
    5. CAMV-1, CAMV-3に感染したササゲ(在来つる無金時)の個々の花粉をつぶし,固定染色または蒸着して電顕によりウイルス粒子の有無を観察したところCAMV-1では6.8%の花粉から,CAMV-3では18.6%の花粉からウイルスが検出された。
    6. これまでに行なった一連の研究の結果に基づき,ササゲおよびアズキにおけるウイルスの種子伝染の機構を,(1)種子伝染がおこる場合,(2)種子伝染がおこらない場合,に分けて説明することを試みた。
  • 大橋 祐子, 下村 徹
    1971 年 37 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. TMVを接種したトルコタバコの葉を熱処理すると,この葉にlocal lesionが形成されることがFoster and Ross (1968)によって報告された。筆者らはTMVを接種したXanthiまたはSamsunタバコの葉についてこのことを追試確認し,筆者らの実験条件下での熱処理によるlesion形成の最適条件について検討した。
    2. 熱処理によってXanthiまたはSamsunの葉に誘起されるlesionの数を,同じ濃度のTMVを接種した,Xanthi ncまたはSamsun NN (local lesion host)のそれと比較したところ,systemic hostとlocal lesion, hostの間ではいずれも差がなく,XanthiとXanthi ncの間では感染性-希釈曲線にも差がみられない。また,XanthiとXanthi ncの健全葉表皮のectodesmataの数にも差がみられなかった。しかしsystemic hostの熱処理によって形成されるlesionは,local lesion hostに形成されるlesionにくらべ直径がはるかに大きく,接種後TMVは各lesionを中心により急速に全葉に広がるようであった。
    3. 以上の結果から,local lesion hostでウイルスがあまり増殖しないのは,infectible siteがこの宿主で少ないためではなく,感染成立後のTMVの増殖あるいは移行に差があるためと考えられる。
  • 岡田 文雄
    1971 年 37 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    供試植物はCMVにタバコ(Ky-57)を,TMVにはトマトおよびグルチノーザを用い,化学構造の明らかなチャのカテキン4種の全身感染ならびに局部感染に対する阻害作用を検討した。
    1. CMVの全身感染に対するカテキン処理の作用は,水溶性たん白と結合作用の小さい遊離型((-) EC, (-) EGC)に比べ,結合作用の大きいエステル型の(-) ECg, (-) EGCgの効果が顕著で,30日後も病徴を認めなかった。
    2. TMVの全身感染に対するカテキンの作用は,(-) EC, (-) EGCには阻害効果は認められなかった。しかし,エステル型の(-) ECgと(-) EGCg処理では全身感染ならびに局部感染による病徴はあらわれず,阻害効果が認められた。
    3. エステル型の(-) ECgならびに(-) EGCgの添加量が病斑形成に及ぼす影響は,いずれの実験でもカテキン量が増すにつれてlocal lesionは急激に減少を示し,0.5%になるとその形成は認められなかった。
  • 小室 康雄, 栃原 比呂志, 深津 量栄, 長井 雄治, 米山 伸吾
    1971 年 37 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 昭和43年6月,千葉,茨城のスイカ主産地帯にモザイク症状が多発し,これら病株から1種のウイルスが分離された。このウイルスはキュウリ・緑斑モザイク・ウイルス(cucumber green mottle mosaic virus, CGMMV)と同定された。
    (2) スイカから分離されたCGMMVと昭和41年に西日本でキュウリから分離されたCGMMVとは,Datura stramonium, Chenopodium amaranticolorに対する反応および沈降反応による血清反応で両者間に明らかな差異がみられた。スイカから分離されたウイルスをスイカ系,キュウリからのものをキュウリ系として区別することにした。
    (3) 昭和43年7月以降千葉,茨城でモザイク病の発生したのとほぼ同じ地帯で主として果肉に激しいうるみを伴う俗称コンニャク病と呼ばれる肉質劣変症状が多発し,これらコンニャク病果の大部分のものからもCGMMV-スイカ系が分離された。
    (4) 分離されたCGMMV-スイカ系を健全スイカに接種したところ,まず葉にモザイクが現われ,ついで収穫期の果実には典型的な肉質劣変症状が確認された。
    (5) 各地のスイカのモザイク茎葉および果実のコンニャク病果からのCGMMVの分離試験を行なった。モザイク茎葉についてはその大部分のものからCGMMVが分離され,コンニャク病果については70点中51試料からCGMMVが,2試料からWMVが分離されたほか,ウイルスの分離されなかったものが17点あった。
    (6) 上記(5)の試験とは別に山形のスイカ栽培地におけるスイカの肉質劣変果について調べた結果,CGMMVのほかCMV, WMVが分離され,地域によってはCGMMVのほかにCMV, WMVが関係しているもののようである。これらCMV, WMVについての健全スイカに接種しての再現実験はまだ行なっていない。
    (7) 発生地帯において,その栽培に用いた種子の残り種子を集め,検定数は少ないがそれからのCGMMVの検出試験を行なった。スイカ種子からは検出できなかったが,台木用のユウガオからは6試料中4試料から検出された。なお栃木県一帯のユウガオのモザイク株からも高率にCGMMV-スイカ系が分離された。
  • 谷 利一, 吉川 正明, 内藤 中人
    1971 年 37 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンバク子苗第1葉にPuccinia coronataを接種し,各種リボ核酸区分への32P-とり込みの変化をMAKカラム法で調べた。罹病性品種のビクトリアでは,32Pの罹病/健全比はrRNA区分において胞子堆形成開始の初期(接種3日後)から増加し,胞子堆形成期間(同4-5日後)にはいちじるしく増加した。sRNA区分へのとり込み比は胞子形成開始期(同5日後)にだけ増加した。TB-RNAならびにrapidly labeled RNA区分における同比の変化はrRNAとほぼ同じ傾向を示した。抵抗性品種の勝冠1号では,罹病/健全比はsRNA, rRNA, TB-RNA区分においてほぼ等しく増加した。増加は吸器形成期以前(接種20時間後)にすでにわずか認められ,接種28-48時間後にいちじるしかった。Rapidly labeled RNAも同じく感染によって増加した。標識RNAの塩基組成比を分析した結果から,32P-rRNAの増加は罹病性品種ではさび菌に由来するが,抵抗性品種では宿主自身の合成促進に基づくと推定した。
  • 植松 勉, 塩見 敏樹, 脇本 哲
    1971 年 37 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌を指示菌として水田土壌から分離したBdellovibrio bacteriovorusの増殖適温,溶菌斑形組に及ぼす諸要因,不活性化温度について検討し,さらに一段増殖実験によってイネ白葉枯病菌での増殖の様相を検討した。イネ白葉枯病菌を寄主細菌とした場合のB. bacteriovrus Bd-N6801の増殖適温は30-32°C,溶菌斑形成適温は増殖適温より若干高く32-34°Cであった。溶菌斑形成率は,温度,指示菌濃度,指示菌の種類および寒天濃度などによって異なる。イネ白葉枯病菌を指示菌とした場合,試験した範囲内では最高の菌濃度(3.5×109cells/ml)で溶菌斑形成率はもっとも高く,菌濃度の低下とともに溶菌斑形成率は低下した。また使用する培地の寒天濃度は0.6%でもっとも高く1%以上の寒天濃度では溶菌斑は現われなかった。供試したいずれの分離株も殺菌蒸留水中では40°C以上で急激に不活性化され,45-50°Cで完全に不活性化された。
    イネ白葉枯病菌を寄主細菌とした場合Bd-N6801は吸着時間30分ののちから3-3.5時間を経て新生Bdellovibrio細胞が放出されはじめ,イネ白葉枯病菌1細胞から平均8-9個の新生細胞が生産される。
  • 山本 昌木, 北見 和光
    1971 年 37 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 2, 4-D 2ppm添加Murashige and Skoog培地上で形成されたジャガイモカルスを観察した。農林1号や男爵薯ではfragile callus,種間雑種96-56ではfragile callusとcompact callus,種間雑種SH-469ではcompact callusが形成された。
    2. 疫病菌Race 0, Race 1接種区とも,農林1号,男爵薯では,9-12時間で褐変がいちじるしく,原形質流動も活発であった。
    3. 種間雑種96-56, SH-469では疫病菌Race 0, Race 1接種区とも6-9時間で褐変がもっともいちじるしく,原形質流動も活発であった。
    4. 非親和性感受体・病原体の組合せで過敏型,親和性感受体・病原体の組合せで罹病型の病斑が認められた。
    5. 振盪培養で得られた遊離細胞に疫病菌が侵入しても褐変が認められなかった。
    6. 農林1号DNAフラクションで処理した種間雑種96-56のカルスに,疫病菌Race 0を接種したところ12時間後に過敏型と罹病型の病斑が認められた。
  • 都丸 敬一, 前田 進, 榎本 豊
    1971 年 37 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    CMV-OあるいはCMV-Yに感染したタバコ葉搾汁液をタバコ苗の根部に接種すると,水耕および鉢植えタバコのいずれも全身的に地上部に病徴を現わす率はCMV-Yでは5-20%, CMV-Oでは25-100%であった。この全身感染率は葉部接種にくらべて低く,また地上部へのウイルスの移行は早くて7-10日,多くは30-40日を要した。CMV-OはCMV-Yにくらべて発病率は高い傾向を示したが,季節の影響およびウイルス系統の差異が考えられる。根部接種根部および葉部接種根部のCMV-Oの濃度推移をササゲの病斑数によって測定した結果,いずれも接種後10日前後に高くなり,以後急激に低下し,再び上昇するパターンが得られ,葉部とほぼ同様なパターンを示すことが確かめられた。植木鉢に2本植えとしたタバコの一方を葉接種によって感染させた実験および木枠に植えた幼苗を用いた実験,また畑のタバコにおける調査からCMV罹病株に隣接する外観健全タバコの根から50%以上の頻度でCMVが検出され,罹病株の根から健全株の根部への伝染がかなりの頻度でおきていることが明らかとなった。従来CMVのようなin vitroの耐性の弱いウイルスでは接触伝染は無視しうるものと考えられていたが,これらの実験結果から,根部伝染は比較的容易におこり,畑における発病の原因となりうる可能性があるものと考えられる。
  • 岩田 吉人
    1971 年 37 巻 1 号 p. 70-71
    発行日: 1971/01/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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