抄録
イネ白葉枯病菌を指示菌として水田土壌から分離したBdellovibrio bacteriovorusの増殖適温,溶菌斑形組に及ぼす諸要因,不活性化温度について検討し,さらに一段増殖実験によってイネ白葉枯病菌での増殖の様相を検討した。イネ白葉枯病菌を寄主細菌とした場合のB. bacteriovrus Bd-N6801の増殖適温は30-32°C,溶菌斑形成適温は増殖適温より若干高く32-34°Cであった。溶菌斑形成率は,温度,指示菌濃度,指示菌の種類および寒天濃度などによって異なる。イネ白葉枯病菌を指示菌とした場合,試験した範囲内では最高の菌濃度(3.5×109cells/ml)で溶菌斑形成率はもっとも高く,菌濃度の低下とともに溶菌斑形成率は低下した。また使用する培地の寒天濃度は0.6%でもっとも高く1%以上の寒天濃度では溶菌斑は現われなかった。供試したいずれの分離株も殺菌蒸留水中では40°C以上で急激に不活性化され,45-50°Cで完全に不活性化された。
イネ白葉枯病菌を寄主細菌とした場合Bd-N6801は吸着時間30分ののちから3-3.5時間を経て新生Bdellovibrio細胞が放出されはじめ,イネ白葉枯病菌1細胞から平均8-9個の新生細胞が生産される。