日本植物病理学会報
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病斑進展曲線に関する数理統計的研究
発生予察の1方法
清沢 茂久
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1972 年 38 巻 1 号 p. 30-40

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抄録
長野農試で栗林・市川により得られた飛散胞子数に関するデーターを次の3式を用いて解析した。
y=Y/1+ke-rt (1), y=Y'/1+ke-rt (2), y=y0er(t-t2/2T) (3)
ここでk=(Y-y0)/y0あるいは(Y'-y0)/y0, Yはその年の最終病斑数(累積胞子数),Y'はこれまでに得られたYの最大値,y0伝染開始期の病斑数,rは伝染速度あるいは菌の増殖率,tは時間(日)Tは病斑数の増加が止る時期。累積胞子曲線は(1)式にもっともよく合うが,この式はYをあらかじめ決められないため発生予察への利用価値が少ない。(2)式と(3)式を比較すると(3)式の方がよく合う。したがって,(3)式は発生予察に利用しうるものと考えられる。(3)式に実測曲線をあてはめ,横軸にlogeyを,縦軸に(t-t2/2T)をとって図を書いたところ,1本の直線よりもむしろ屈折した2本の直線を描いた。このことから,logyを用いて発生予察する方法を考案した。
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