日本植物病理学会報
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市販のインゲン種子から分離された糸状菌とその病原性
渡辺 恒雄
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1972 年 38 巻 2 号 p. 111-116

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抄録
市販のインゲン種子(品種,トップクロップ)を低温殺菌した土壌(70°Cで1時間蒸気殺菌)に播種したところ18-23%が発芽せず,また発芽した子苗の約7.5-14.5%が何らかの病徴を示した。その発病株からはColletotrichum lindemuthianum,やRhizoctonia solaniなどの病原菌が分離された。そこで長野県産で採種圃の異なる3群の市販の種子を表面殺菌後PDA培地上に置いて糸状菌を分離し,その菌相を調べた。これらの3群の種子からは合計1,036菌株を分離したが,それらは24属に分類された。おもな属はAlternaria, Fusarium, Colletotrichum, Chaetomium, Rhizoctoniaで,これらは全分離菌株数の約86%を占めた。
また種子から分離した合計89菌株を土壌に接種して,インゲンに対して病原性試験を行なったところ,強い病原性を示したのはColletotrichum lindemuthianum, Macrophomina phaseoli, Rhizoctonia solaniの3種であった。供試した市販の種子は22-41粒につき1粒の割合で上記の病原菌のいずれかによって汚染されていた。
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