日本植物病理学会報
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土壌中におけるハイメキサゾールの微生物変換
中西 逸朗高日 幸義富田 和男
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1974 年 40 巻 5 号 p. 383-391

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抄録
ハイメキサゾール-14C(3-hydroxy-5-methylisoxazole-3-14C)を供試し,土壌中におけるハイメキサゾールの分解について検討した。ハイメキサゾール-14Cは非殺菌土壌(田無土壌,野洲土壌)中で容易に分解され,14C-分解物質としてCO2, acetoacetamide, 5-methyl-2(3H)-oxazoloneが検出された。14CO2の生成量は日数の経過とともに増加し,逆にacetoacetamide-14C, 5-methyl-2(3H)-oxazolone-14Cの量は減少した。殺菌土壌にハイメキサゾール-14Cを処理した場合,14CO2の生成量は微量であり,非殺菌土壌におけるハイメキサゾールの分解は,主に微生物の作用によるものと思われた。ハイメキサゾール-14C処理土壌における14CO2の生成量は湿潤状態に比べ湛水状態において多く,また15C∼35Cの温度条件下においては,温度の上昇につれて増加した。ハイメキサゾールはBacillus subtilis, Streptomyces griseus, Aspergillus niger, Arthrinium sp., Penicillium sp.を純粋培養した土壌においても同様に分解された。ハイメキサゾールおよび(あるいは)その分解物質の一部は土壌に強く吸着され,1N HClによる抽出,およびそれにつづく1N NaOH, methanolによる抽出によっても溶出されなかった。キュウリのFusarium wiltに対するacetoacetamide, 5-methyl-2(3H)-oxazoloneの防除効果はハイメキサゾールに比較していちじるしく劣ることから,土壌中におけるハイメキサゾールの分解は解毒過程であると考えられる。
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