抄録
イネのindica品種のいもち病抵抗性遺伝子(Pi-zt)を戻し交雑法により導入して育成したisogenic系統を用いて,この抵抗性遺伝子に対して突然変異により病原性を獲得したいもち病菌系研53-33-zt+の病原力を調べた。その結果,抵抗性遺伝子をもつ系統の上よりももたない系統の上で,この突然変異菌系の病原力が強く現われることがわかった。
3つの異なる菌系から別々に分離した突然変異菌系(いずれもPiztを特異的に侵す菌系)の病原力を感受性品種の上で原菌系の病原力と比較した。研53-33-zt+だけが原菌系よりも病原力が弱くなっていたが,ほかの2つの菌系では病原力に差がなかった。
これらの結果を宿主と寄生者間の働き合いを説明する遺伝子対遺伝子説との関連で論議した。