1975 年 41 巻 2 号 p. 171-175
トウモロコシから分離した炭そ病菌は,寒天培地上において二つの異なる型の分生胞子を形成する。一つは6-21×3.0-6.0μm(平均12×3.8μm)の楕円形胞子で,これは若い菌糸の側面に生じた小突起の先端に形成された。この胞子は日が経っても鎌形にはならなかった。他は24-30×3.3-5.7μm(平均27.2×4.7μm)の鎌形の胞子で,日を経た菌叢の上のスポロドキアに生じ,鮭肉色の小粘塊をなしていた。トウモロコシの葉に対する病原性は楕円形胞子のほうが鎌形胞子よりもはるかに強かった。この楕円形胞子はBarnett (1960)のいうfree conidiaに該当するものと思われる。