日本植物病理学会報
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インゲン黄斑モザイクウイルスの精製と血清反応
上田 一郎小島 誠村山 大記
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1975 年 41 巻 2 号 p. 192-203

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抄録

インゲン黄斑モザイクウイルス(BYMV, isolate No.30)を精製し,抗血清を作製した。罹病ソラマメ茎葉(凍結組織)を0.1Mトリス緩衝液(0.05 M EDTA, 1% 2-メルカプトエタノールを含む, pH7.0)中で磨砕し,四塩化炭素による清澄化の後,4%ポリエチレングリコール(#6000)により濃縮し,さらに分画遠心後,しょ糖濃度勾配遠心法により精製した。ウイルス収量は罹病ソラマメ100gあたり約2mgであった。
得られた抗血清の力価は1/2048であった(重層法による)。精製ウイルスは寒天中での移動度が低く,寒天ゲル二重拡散法では反応が認められなかった。しかしラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を寒天中に加えるか,あるいはSDSによってウイルスを処理すると,1本の沈降線が認められた。この方法により既知の2系統(BYMV-N系統,BYMV-CS系統)との血清学的関係を調らべたところ,いずれも本分離株との間にはスパーが形成された。SDSの代りに3, 5-ジヨードサリチル酸リチウム(LIS)を用いた場合,より明瞭な沈降線(スパーも含む)が得られた。

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