抄録
うどんこ病に対する親和性を異にするオオムギ品種ならびに系統を用いて,接種前乾熱処理効果を調べた。非親和の組合せの場合,45C以上の処理によって感染が成立するようになるが,その程度は組合せによって異なっていた。しかしいずれの組合せにおいても,50Cで10分間処理することにより,一旦誘導された感受性が低下した。またどの温度処理区においても肉眼で認められる程の菌叢形成はなかった。熱誘導感受性は親和性の低いレースに対してより有効であったが,しかしその感染成立頻度は親和性のそれに比較すると低く,非親和菌は少くとも第二次菌糸伸長以前に細胞組織において拒否反応を誘導するものと考えられた。この熱誘導感受性は処理後ほぼ24時間以内に消失し,その速度は一次反応に従がっていた。親和性の組合せにおいても同様な温度処理効果が認められ,45C処理で感染成立頻度は高くなるが,50C 10分処理では再び低下した。