日本植物病理学会報
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Xanthomonas citriの産生する抗菌物質
松尾 憲総脇本 哲
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1977 年 43 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

Xanthomonas citri Ku7101菌株は,平板培養コロニーをクロロホルム蒸気,熱,紫外線のいずれかで処理すると,その菌株自身に対して活性を示す抗菌物質を産生した。
この物質の抗菌スペクトラムは,極めて限られており,供試したグラム陽性菌9種(9菌株),X. citri20菌株を含むグラム陰性菌39種(58菌株)のうち,X. citri Ku7101とX. campestrisのみに明らかな活性を示した。
抗菌物質産生菌株Ku7101のこの物質に対する感受性は,菌株の継代培養条件によって容易に失なわれることがあり,特に,YPDA培地上では不安定であった。しかしながら,2日間隔で継代すれば,培地の種類に関係なく,その感受性を比較的安定に維持できた。
この抗菌物質は,溶菌斑を形成せず,また,約200,000×g, 240分間の遠心によって沈殿しないことから,テンペレートファージではなく,比較的低分子のバクテリオシン様物質と考えられる。

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