日本植物病理学会報
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43 巻, 1 号
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  • 羽柴 輝良, 山口 富夫, 茂木 静夫
    1977 年 43 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    出穂期の異なるイネ13品種を用い,イネ紋枯病の病斑の上位進展経過および進展様相を5ヶ年にわたって調査し,上位進展に関与する主要因の解析を行なった。
    暦日上同一調査日における上位進展は早生>中生>晩生の順となる。同一品種でも植付時期を変えることにより出穂期が変り,上位進展度も変る。出穂期の異なるイネを播種日と田植日を変えて出穂期をほぼ同一とすると早生,中生,晩生種間の最上発病葉鞘位の差が著しく小さくなる。このことから,イネ紋枯病の上位進展は稲体の成分変化に依存していると推定した。
    成分変化の要因解析の一方法として,葉鞘内窒素・澱粉の量的な変化と上位進展との関連について検討した。圃場において上位進展の早い早生種の澱粉含量は8月下旬5.0-21.2mg/1g生体重内にあり,この範囲では培養実験でも菌叢の生育に好適な含量に相当する。上位進展の遅い晩生種は澱粉含量が高く,24.7-32.2mg/1g生体重を示し,この含量の範囲では培養試験でも窒素量の増加によっても菌叢の生育を低下させ,早生種よりも菌叢の生育に不適である。同一品種の葉鞘内窒素・澱粉量の経時変化をみても,早生種は日数の経過と共に澱粉含量は急激に低下し,培養実験での良好な菌叢の生育を示す含量になるが,晩生種ではこの変化が緩慢である。このことから,イネ紋枯病の上位進展は葉鞘内窒素と澱粉の量的変化によって著しく影響されるかとも推定された。
  • 松尾 憲総, 脇本 哲
    1977 年 43 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Xanthomonas citri Ku7101菌株は,平板培養コロニーをクロロホルム蒸気,熱,紫外線のいずれかで処理すると,その菌株自身に対して活性を示す抗菌物質を産生した。
    この物質の抗菌スペクトラムは,極めて限られており,供試したグラム陽性菌9種(9菌株),X. citri20菌株を含むグラム陰性菌39種(58菌株)のうち,X. citri Ku7101とX. campestrisのみに明らかな活性を示した。
    抗菌物質産生菌株Ku7101のこの物質に対する感受性は,菌株の継代培養条件によって容易に失なわれることがあり,特に,YPDA培地上では不安定であった。しかしながら,2日間隔で継代すれば,培地の種類に関係なく,その感受性を比較的安定に維持できた。
    この抗菌物質は,溶菌斑を形成せず,また,約200,000×g, 240分間の遠心によって沈殿しないことから,テンペレートファージではなく,比較的低分子のバクテリオシン様物質と考えられる。
  • 朴 杓允
    1977 年 43 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒斑病菌Alternaria kikuchiana Tanakaの宿主特異的毒素(AK-toxin)は,日本ナシの感受性品種からのみ,特異的な電解質の異常漏出を処理後2分以内にひきおこした。それに反し,非宿主特異的毒素であるテヌアゾン酸とフェニル酢酸は,日本ナシの感受性品種と抵抗性品種の両方から,若干の電解質の漏出を処理後3時間目にひきおこした。AK-toxinで処理したナシ葉細胞における微細構造変化が,感受性品種の葉細胞の原形質膜と細胞壁の間で高頻度で生じているのが観察された。この間では,原形質膜は,細胞質の内側に異常に陥入していた。この膜の陥入は,AK-toxinによる宿主細胞の最初の構造変化であり,この時,他の細胞内膜系は,構造変化をひきおこしていない。抵抗性品種の葉細胞は,AK-toxinによって全く影響を受けなかった。他方,テヌアゾン酸あるいはフェニル酢酸で処理したナシ葉細胞では,AK-toxinに対して感受性,抵抗性品種の両方に同一の変性をひきおこした。この毒性代謝産物は各々,非選択的に両品種の葉細胞のすべての細胞内小器管に変性をひきおこした。しかし,陥入の如き原形質膜の変化は認められなかった。これらの代謝産物の細胞内膜系に及ぼす非選択的効果は,これらがすべての膜系に作用点をもっているかもしれないことを示す。非特異的毒素による電解質の漏出は,AK-toxinのそれとは異なる効果により生じたと考えられる。AK-toxinによる電解質の異常漏出と原形質膜の陥入は,この毒素が感受性細胞の原形質膜の機能と構造に影響を与えたことを示している。
  • 朴 杓允
    1977 年 43 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Alternaria kikuchiana Tanakaの胞子を,感受性日本ナシ品種の葉の裏面に6時間と24時間接種し,その接種葉を,電子顕微鏡で観察した。接種6時間後,原形質膜の微細構造変化が,感染菌糸の見られない裏表皮細胞において最初の細胞内膜系の変化として現われた。原形質膜は細胞壁から離れ,細胞質の内側に深く突出,陥入した。この細胞壁と原形質膜の間の陥入部位では,ロマソーム様小胞,膜断片,不定形物質,plasmodesmaから突出したdesmotubuleが見られた。接種24時間後,え死細胞の細胞内小器官の膜系は,比較的もとの形態を保っていたが,細胞質の電子密度の増加のためネガティブな像を示した。偽原形質分離と原形質膜のやぶれが,激しく崩壊したえ死細胞で観察された。胞子を接種した葉細胞の微細構造変化は,AK-toxin処理した葉細胞のそれと酷似しており,それは発芽胞子の分泌するAK-toxinによることを暗示した。これらの結果は,感染初期における発芽胞子の分泌するAK-toxinの役割の重要性を示している。
  • 第I報 各発育段階におけるオオムギうどんこ病菌の光顕観察
    阿久津 克己, 小笠原 長宏
    1977 年 43 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    オオムギうどんこ病菌(E. graminis f. sp. hordei)に対するメチオニンを含む7種のアミノ酸の作用を調べ,各処理葉上における本菌の形態変化を光顕観察した。
    1. メチオニン以外の4種のアミノ酸処理葉で,本菌に対する抑制効果は認められなかった。
    2. メチオニンは本菌の胞子発芽ならびに付着器形成に対し,in vivo, in vitroともに阻害効果を示さなかった。
    3. メチオニン処理葉で,第1吸器の形成阻止は認められないが,その後の吸器の形態分化に異常が起り,その指状突起が減少する一方異常に伸長し,その養分吸収力も著しく低下した。吸器の奇形および作用低下はL-体で最も著しかった。
    4. メチオニン処理葉上で,菌糸の伸長は著しく悪く,その抑制程度はL-体,DL-体,D-体の順であった。
    5. メチオニン処理葉で,第2以降の吸器の形成は著しく少ないが,菌糸細胞数あたりの形成率は標準区より高く,その形成数の低下は形成阻害によるのではなく,菌糸伸長の低下によると思われる。また,吸器の形成位置に規則性が無くなった。
    6. L-, DL-メチオニンを接種前に処理した場合,接種5日すぎても分生子柄,分生胞子の形成は認められなかった。しかしD-メチオニン処理葉上の菌叢ではただ1個の分生子柄を形成し,その上に分生胞子を形成した場合が多く観察された。接種後72, 96時間に処理した場合,分生子柄,分生胞子の形成が起ったが,その数は少なかった。
    7. 接種5日後にL-, DL-メチオニン処理した場合,分生子柄上に20個以上の分生胞子を鎖生した菌叢が多く観察され,胞子の飛散性の低下が認められた。また,このような分生胞子を接種試験した結果,発芽率が低く,その後の菌叢形成率も悪かった。
  • 後藤 正夫, 牧野 孝宏
    1977 年 43 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    静岡県浜北市で分離したヤブカラシの斑点細菌病菌Pseudomonas cissicola (Takimoto,1939) Burkholder, 1948について分類学的再検討を行なった。本菌は掩元(1939)の原記載とは,鞭毛,ゼラチン溶解,リトマス牛乳反応,デンプン糖化,ウシンスキー氏培地における色素生産,5Cでの発育,グルコース,スクロース,ラクトース,グリセリンからの酸産生等の諸性状において異ったが,ヤブカラシにおける病原性,病徴では一致した。そこで本菌をP. cissicolaと同定し,その細菌学的性状の記載を修正するとともに,菌株PC1を本菌のneotype strainに指定した。
  • 大木 理, 山下 修一, 荒井 啓, 土居 養二, 與良 清
    1977 年 43 巻 1 号 p. 46-54
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 関東各地に多発するホウレンソウと家畜ビートの萎黄株を調査したところ,DN法による電顕観察で糸状ウイルスと小球形ウイルスとが見出された。
    2. 糸状ウイルスは大きさ約12×1, 450nm,らせんピッチ約3.7nmで,closterovirus群特有のしなやかな形状を示す。本ウイルスは汁液接種できなかったが,モモアカアブラムシによって半永続的に伝搬され,感染したホウレンソウ,フダンソウなどは上葉に葉脈透化,下葉に萎黄症状を現した。病葉切片では篩部壊死が顕著で,糸状粒子は篩部細胞のみで認められ,また特殊な小胞が観察された。以上より,本ウイルスはテンサイ萎黄ウイルス(beet yellows virus: BYV)と同定された。
    3. 小球形ウイルスは直径約27nmで,供試した萎黄株では概してごく少量検出された。汁液接種では伝染せず,モモアカアブラムシによって永続的に伝搬され,感染したホウレンソウ,フダンソウなどは穏かな黄化病徴を示した。病葉切片では篩部壊死,壊死篩管や篩部柔細胞液胞内の小球形粒子の凝集塊や結晶集塊,核酸様繊維を含む小胞など,Iuteovirus群特有の電顕所見が得られた。以上より,本ウイルスはテンサイ西部萎黄ウイルス(beet western yellows virus BWYV)と同定された。
    4. ホウレンソウ病葉を材料として,分画遠心によってBWYV粒子の部分純化を試みて成功し,膜吸汁法によって感染性も証明された。
    5. 以上のように本研究ではBYVとBWYVのウイルス粒子を確認し,両ウイルスがわが国に広く発生することを最終的に立証した。
  • 西口 正通, 大島 信行
    1977 年 43 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 池上 正人, R.I.B. FRANCKI
    1977 年 43 巻 1 号 p. 59-61
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 大内 成志, 中林 英人, 奥 八郎
    1977 年 43 巻 1 号 p. 62-64
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 甲元 啓介, 谷口 達雄, 西村 正暘
    1977 年 43 巻 1 号 p. 65-68
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 1 号 p. 69-78
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 1 号 p. 78-85
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 1 号 p. 86-105
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 1 号 p. 105-111
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 1 号 p. 111-117
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 43 巻 1 号 p. 118-127
    発行日: 1977/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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