日本植物病理学会報
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カブモザイクウイルスの純化方法について
崔 璋京前田 孚憲脇本 哲
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1977 年 43 巻 4 号 p. 440-448

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抄録
当教室保存のカブモザイクウイルス(TuMV,分離株No.67)を用いてTuMVの純化方法を検討した。凍結処理した罹病カブ葉を0.5Mりん酸緩衝液(0.01M EDTA, 0.1%チオグリコール酸を含む,pH7.5)中で磨砕し,ガーゼでろ過後,低速遠心により得た上澄に1% Triton X-100, 4% PEG (MW6,000)及び0.1M NaClを同時に加えることによりウイルスを強固に凝集させることなく清澄化と濃縮を行った。沈澱を0.5Mりん酸緩衝液(0.01M MgCl2を含む,pH7.5)にけん濁後,1回分画遠心し,再び同一緩衝液にけん濁後,しょ糖密度勾配遠心によりウイルスを純化した。純化ウイルス標品の紫外線吸収は典型的な核蛋白の吸収パターンを示し,O.D.260/O.D.280は1.23,最高/最低は1.14であった。この純化ウイルスは電顕観察でも夾雑物を含まないことを確認した。純化ウイルスの収量は罹病葉100g当り1.5∼4.0mgと推定された。
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