1978 年 44 巻 1 号 p. 47-51
1) タバコ(サムソンNN)の下葉にTMVを接種すると,7日後に全身的獲得抵抗性があらわれた。
2) 獲得抵抗性はTMVを接種した下葉をblasticidin Sまたはformycin Bで処理すると弱められたが,chloramphenicol, chycloheximideおよび2-thiouracilにはその作用を認めなかった。
3) blasticidin S処理においては,一一次接種後12時間以内の処理によって抵抗性を弱める効果があった,
4) ゲル電気泳動法に健全葉にはない蛋白質バンド2本が感染植物に生じた。このバンドは接種葉のみでなく非接種上葉にもあらわれた。
5) サムソンNNの下葉にTMVを接種し,その葉にblasticidin Sを処理しても,上葉に生ずる新しい電気泳動のバンドに影響はみとめられなかった。
6) 以上の結果から,獲得抵抗性は一部の蛋白質あるいは核酸合成が関与していて,しかもこの反応はTMV感染初期に関係していることが推察された。