日本植物病理学会報
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44 巻, 1 号
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  • 福本 文良, 栃原 比呂志
    1978 年 44 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    長野県松代町で採集したナガイモのえそモザイク症状株から未報告のウイルスが分離された。本ウイルスは約12∼13×660nmのひも状粒子で,モモアカアブラムシとワタアブラムシにより非永続的に伝搬された。ナガイモは退緑斑点,輪紋,えそ斑点,あるいは網目状のえそ症状を示した。本ウイルスはイチョウイモ,ヤマトイモ,相模早生にも感染した。汁液伝染しにくいが,病葉を凍結処理するか,あるいは分画遠心により濃縮すると比較的容易に伝染した。本ウイルスは粒子の形態とアブラムシ伝搬性とからcarlavirus groupに属すると考えている。本ウイルスをヤマノイモえそモザイクウイルス(chinese yam necrotic mosaic virus)と命名した。
  • ビワがんしゅ病菌の色素産生性と病原性による系統類別
    森田 昭
    1978 年 44 巻 1 号 p. 6-13
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ビワがんしゅ病菌(P. eriobotryae (Takimoto) Dowson) 109菌株を全国のビワ産地の罹病樹から分離採集し,それらの色素産生性と病原性によって系統類別を行い,各系統菌の病原性,地域性およびビワ品種との関係について検討した。
    1. 本病原細菌はPSA培地上での褐色色素産生性および,その病原性,特に葉(葉肉部)に接種した場合のハロー病斑形成の有無によって次の3系統に分けられた。
    A系統:褐色色素を産生せず,葉に病原性を示さない。
    B系統:褐色色素を産生せず,葉に病原性を示す。
    C系統:褐色色素を産生し,葉に病原性を示さない。
    2. これらの各系統菌株の分布には地域,品種および宿主部位に関連して特異性がみられ,A・C系統は全国各地から,B系統は長崎県のビワ集団栽培地からのみ分離された。またA系統は茂木・田中両品種の葉以外の各部位から分離され,B系統は品種茂木の葉,枝,芽から分離されたのに対し,C系統は両品種の枝のみから分離された。
    3. 各系統に属する菌株の病原性にはビワ品種およびその部位と関係がみられた。A系統に属する菌株は田中・茂木両品種の枝に対してのみ強い病原性を示した。B系統に属する多くの菌株は枝では両品種に強い病原性を示し,葉では茂木種に強い病原性を,田中種に弱い病原性を示した。C系統に属する菌株は枝に対してのみ病原性を示し,一般に田中種に強く,茂木種に弱い病原性を示した。
  • 崔 璋京, 前田 孚憲, 脇本 哲
    1978 年 44 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    純化カブモザイクウイルス(TuMV)を用いて作製した抗血清と各種の処理によって調製したTuMV抗原とを用いてtube precipitin test (TT), ring interface test (RT), bentonite flocculation test (BT)およびagar gel immunodiffusion test (AT)の感度を検討した。抗原として感染植物の粗汁液あるいは部分純化標品を用いた合場はTT, RT, BTの間には著しい感度の差は認められなかった。しかし,純化ウイルスおよびその蛋白質を用いた場合はBTが他の方法に比較して極めて高い感度を示した。Intactなウイルスを用いた場合はATで反応がみられなかった。
    ATを用いてTuMVの血清学的性質を調べるため,超音波処理によって得られた切断ウイルスおよび化学的処理によって得られた蛋白質を抗原として用いた。純化ウイルスを超音波処理するとウイルスの感染性と粒子の長さとはともに処理時間に比例して著しく減少した。超音波で1分間以上処理したウイルスはTuMVの抗血清に対して1本の沈降線を形成し,10分間処理したTuMVは最適の位置に明瞭な沈降線を形成した。BaCl2, ethanolamineあるいはpyrrolidine処理によって得られたウイルスの蛋白質は抗血清と1本の明瞭な沈降線を形成し,特にBaCl2処理によって得られた蛋白質は収量も高く沈降線も明瞭であった。SDS処理により得られた蛋白は2本の沈降線を形成し,それらの内早く拡散した抗原による沈降線はほかの化学的処理によって得られた抗原の沈降線と融合した。超音波および化学的処理によって得られたTuMVの抗原の間には血清学的な差は認められなかった。
  • 松本 勲, 大口 富三, 井上 雅央, 浅田 泰次
    1978 年 44 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    べと病罹病組織磨砕液で健全ダイコン根切片を処理すると約12時間後に細胞壁の木化が起こるが,磨砕液処理後30分間以内に核酸合成阻害剤を,2時間以内にたんぱく合成阻害剤を添加すると木化が起こらないので,リグニン誘導には核酸およびたんぱく質の合成が必要である。磨砕液処理後2時間以内に切片を水で再処理すると木化が起こらないが,これ以後の時間での再処理では木化が起こった。これはリグニン誘導には磨砕液が少なくとも2時間は生組織に接触している必要があり,一度誘導が起こった後は磨砕液を除去しても効果がないことを示している。さらに磨砕液処理切片を嫌気状態(N2ガス下)におくと12時間以内では木化が起こらず,それ以後の時間では木化が起こるので,リグニン誘導には酸素を必要とする反応があることを示唆している。また組織を熱処理(55C, 30秒間あるいは50C, 60秒間)して直ちに磨砕液処理すると木化は起こらないが,熱処理したものを24時間放置(20C)しておくと,磨砕液処理によって木化が起こった。これは熱処理によって生細胞での一時的変化が起こり,リグニン誘導能が麻ひするが,24時間後には回復することを示唆する。このような磨砕液のリグニン誘導能は,その中にリグニン誘導因子が含まれているためと思われるが,この因子は病原菌が直接分泌したものではなく,病原菌の感染によって宿主が生成したものである。この誘導因子は病態組織のみでなく少量ながら切断傷害組織でも生成され,病態および切断両組織磨砕液処理によって生成するリグニンは,ともにグアイアシル型の同じ性質のものである。したがってべと病菌の感染による宿主のリグニン生成は,一種の傷害に対応する反応であり,吸器貫通による宿主原形質膜の傷害がその原因ではないかと考えられる。
  • 四方 英四郎, 小島 誠
    1978 年 44 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    leaf-dip serologyにより,タバコモザイクウイルス,ジャガイモXウイルス,インゲン黄斑モザイクウイルスの検出を行なった。いずれの場合も,特異抗体がウイルス粒子表面に付着し,粗面となり,コントラストが低下した。TMVでは粒子の凝集塊が顕著に観察された。各ウイルスは異種抗血清中では全く反応が認められなかった。また,ジャガイモ葉巻ウイルス,ダイズ矮化ウイルスなど小球形ウイルスにつき精製試料を用い,それら特異抗血清との反応を観察したところ,大小種々の凝集塊が容易に見出された。抗BYMV抗PLRV各血清からの免疫グロブリン各成分の反応性を重層法と免疫電顕法で調べたところ,両ウイルスともIgG抗体とのみ反応した。その反応像は,前記抗血清との反応と同様であった。
  • 山田 義男, 長島 久和子, 井上 金治, 小島 暁
    1978 年 44 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    クワ萎縮病の明瞭な病徴を示す一の瀬の罹病新梢から若葉を採取し,その葉柄を用いて,篩部組織内に分布するMLOの表面微細構造およびMLOコロニーの微細立体構造を,SEMおよびTEMを併用して観察した。
    SEMを用いて篩部組織を観察すると,篩管,篩部柔細胞,伴細胞の順に,それぞれの細胞内には網目状の構造が発達していた。網目構造は150∼300nmの径を有する大小の球状粒子および叉状に分枝した約120nmの幅を有する多数のフィラメントから成り立っていた。SEMによる球状粒子の大きさおよびフィラメントの幅は,TEMによるMLOの測定結果とよく一致するので,網目構造はMLOコロニーと推定された。MLOはその発育過程で,球状粒子からフィラメントを数本派生し,さらに各フィラメントの先端は2叉状ないしは3叉状に分枝を繰返しながら生長するものと思われる。したがって,このような粒子が多数存在すると,フィラメントは互いに錯綜して網目構造を呈するようになると考えられる。
    SEMによる表面微細構造の観点からみた,in vivoにおけるクワ萎縮病のMLOの諸形態は,in vitroで生育した動物のマイコプラズマの諸形態と本質的にはきわめて近似していた。
  • 太田 進康, 谷口 武
    1978 年 44 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1) タバコ(サムソンNN)の下葉にTMVを接種すると,7日後に全身的獲得抵抗性があらわれた。
    2) 獲得抵抗性はTMVを接種した下葉をblasticidin Sまたはformycin Bで処理すると弱められたが,chloramphenicol, chycloheximideおよび2-thiouracilにはその作用を認めなかった。
    3) blasticidin S処理においては,一一次接種後12時間以内の処理によって抵抗性を弱める効果があった,
    4) ゲル電気泳動法に健全葉にはない蛋白質バンド2本が感染植物に生じた。このバンドは接種葉のみでなく非接種上葉にもあらわれた。
    5) サムソンNNの下葉にTMVを接種し,その葉にblasticidin Sを処理しても,上葉に生ずる新しい電気泳動のバンドに影響はみとめられなかった。
    6) 以上の結果から,獲得抵抗性は一部の蛋白質あるいは核酸合成が関与していて,しかもこの反応はTMV感染初期に関係していることが推察された。
  • 石栗 幸男, 冨山 宏平, 村井 章夫, 勝井 信勝, 正宗 直
    1978 年 44 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモのファイトアレキシンrishitinはジャガイモ塊茎組織によってrishitin-M-1及びM-2に転換される。ジャガイモ疫病菌Phytophthora infestansのrace 0, race 1の胞子発芽及び発芽管長伸長に対るrishitin-M-1及びM-2の抗菌性はrishitinの約1/10であった。またジャガイモ塊茎組織に対してrishitinでは5×10-3Mで毒性があったが,rishitin-M-1, M-2は10-2Mで毒性がなかった。以上から健全組織におけるrishitinの両物質への転換は生理学的には除毒的効果をもつと云ってよい。
  • 山中 達, 本蔵 良三
    1978 年 44 巻 1 号 p. 57-58
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The symptoms on the rice seedlings inoculated at the budding stage of rice plant
    with “Bakanae” disease fungus, Fusarium moniliforme Sheldon, were classified to five
    types; elongation, normal growth after elongating, stunted growth after elongating,
    stunted growth, and no budding. The occurrence rate of each symptom varied
    with the different isolates used.
  • 1978 年 44 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 1 号 p. 82-100
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1978 年 44 巻 1 号 p. 100-109
    発行日: 1978/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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