日本植物病理学会報
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イネ品種黄玉およびジャワNo.14の白葉枯病菌第V群菌系に対する抵抗性の遺伝
小川 紹文守中 正藤井 啓史木村 俊彦
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1978 年 44 巻 2 号 p. 137-141

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抄録
イネ品種黄玉およびジャワNo.14について,白葉枯病菌第V群菌系に対する抵抗性の遺伝分析を行なった。
5組合せ(金南風×黄玉,金南風×ジャワNo.14,ジャワNo.14×黄玉,早稲愛国3号×黄玉および早稲愛国3号×ジャワNo.14)のF2に第I,第IIIおよび第V群菌系を接種した。その結果,第V群菌系に対する黄玉の抵抗性は単一の優性遺伝子に支配されていることが立証され,黄玉のもつこの抵抗性遺伝子をXa-kgと命名した。またジャワNo.14の第V群菌系に対する抵抗性も単一の優性遺伝子,Xa-kgか若しくはそれと極めて密接に連鎖する抵抗性遺伝子に支配されていることを明らかにした。
Xa-kgと既知の抵抗性遺伝子との対立関係について分析した結果,Xa-kgXa-wとは独立であるが,Xa-1とは密接に連鎖しその組換価は約2%であった。
さらにジャワNo.14の白葉枯病に対する抵抗性は少なくも3つの主働遺伝子X-1, Xa-wおよびXa-kgか,あるいはそれらと極めて密接に連鎖する抵抗性遺伝子に支配されていた。すなわち,ジャワNo.14の白葉枯病菌第I群菌系に対する抵抗性には2つの優性遺伝子Xa-1およびXa-wが,第III群菌糸に対する抵抗性には1つの優性遺伝子,Xa-wのみが関与しているものと考えられた。
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