日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
非イオン性界面活性剤のタバコモザイクウイルス感染阻止効果
高木 康至小川 括郎
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 44 巻 3 号 p. 282-287

詳細
抄録
非イオン性界面活性剤19種について,これらのタバコモザイクウイルス(TMV)に対する感染阻止効果を検討した。供試した界面活性剤のHLB価は4.7から16.7にわたる種々のものであったが,HLB価と感染阻止効果の間に明らかな相関関係は認められなかった。しかし,ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルでは感染阻止効果はそのHLB価によって異なり,HLB価13.7付近のものに強い阻止効果が認められた。また,感染阻止効果は疎水基の構造によっても影響され,アルキルフェノール基ではノニルフェノール基が,アルキル基ではラウリル基が,それぞれ最もすぐれていた。今回の実験に供試した19種の界面活性剤のうちではポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルのHLB価13.7のもの(エマルゲン911)が最も高い感染阻止効果を示した。このエマルゲン911のTMV感染阻止作用について2, 3検討した結果,ウイルス粒子の寄主の感染可能部位への付着を阻害する可能性および感染過程の初期段階に対して阻害的に作用する可能性を推察させる結果が得られた。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top