抄録
イネ萎縮病ウイルス感染葉から分離したウイルス標品はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって7種のポリペプチドに分離された。泳動距離の短かい方から順にI∼VIIとした。それぞれの分子量は193,000 ;152,000; 110,000; 62,000; 46,000; 45,000ダルトンであった。キモトリプシン処理によって外殻ポリペプチドは除かれなかった。CsCl濃度勾配平衡遠心によってM1, M2, Bの三成分に分かれ,それぞれの浮遊密度は1.39∼1.42, 1.43, 1.46g/mlであり,CsCl内での遠心によるshearing forceを受けて粒子はM1→M2→Bへと変化したものと考えられる。電子顕微鏡観察と電気泳動からBはIIとIVが完全に, VIとVIIが一部除かれたものであり,IIとIVは最外殻を形成する不定形のポリペプチド,VIとVIIはカプソメアを形成するポリペプチドと考えられる。I, III, Vはコアを形成するポリペプチドと推測され,Vは凍結融解によって核酸と共に粒子から漏出することから核内のポリペプチドと考えられる。