日本植物病理学会報
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Plasmodiophora brassicae Wor.の土壌中の菌量とハクサイの根毛感染,根こぶ形成との関係
アブラナ科植物の根こぶ病に関する研究 II
内記 隆景山 幸二池上 八郎
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1978 年 44 巻 4 号 p. 432-439

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抄録

土壌中におけるPlasmodiophora brassicae Wor.の菌量とハクサイ(品種,金将白菜)の根毛感染,根こぶ形成との関係について検討した。ハクサイの根毛感染は25C,乾土g当り休眠胞子106)個接種土壌中で播種9-12日後,胚軸部より下方1-3cmの部位で最も多く観察された。播種7日後より根毛内に遊走子のうの分化がみられ,8日後に2次遊走子を放出した空胞化遊走子のうが認められた。ハクサイの根毛感染,こぶ形成を伴う発病株率,発病度はともに菌量の増加に伴ない増加した。しかし菌量と発病度との間にのみ高い相関(r=0.82**)が認められた。根毛感染は乾土g当り休眠胞子103個では観察されず,104個で僅かに認められ,105∼107個のときに増加した。他方こぶ形成は根毛感染が観察されない休眠胞子10個のときにもおこり,根毛感染率と発病株率,発病度との間に相関は認められなかった。菌量と発病度との回帰直線よりこぶ形成に要する発病最少菌量は乾土g当り休眠胞子3.55個以上であることが示唆された。

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