日本植物病理学会報
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ジャガイモ塊茎スライスの3H-ロイシン吸収と蛋白質合成に対するジャガイモ疫病菌の感染または遊走子成分の影響について
西村 範夫冨山 宏平道家 紀志
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1978 年 44 巻 5 号 p. 599-605

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抄録

塊茎デイスク(リシリ品種)の両面にジャガイモ疫病菌のrace 0またはrace 1を接種した。一定時間後に3H-ロイシンを吸収させた。接種による吸収量の低下は前報と同じ傾向を示した。酸不溶性分画への取り込み率はrace 0接種で約40%, race 1接種で約10%増加した。この結果は,感染による塊茎デイスクの吸収量の低下が侵入を受けた細胞の代謝活性の低下によるのではなく,原形質膜の取り込み能の変化によることを示唆した。また,遊走子磨砕物中に3H-ロイシンの吸収量を低下させる成分があった。さらに20,000×g上清および沈澱分画処理により吸収量は低下した。上清分画は透析により活性を失った。酸不溶性分画への取り込み率はほとんど変化を受けなかった。いずれもrace 0とrace 1間の差はみられなかった。これらの結果は,沈澱分画の成分が接種後まだ貫入していない時期にみられた吸収低下の要因の一つであることを示す。

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