抄録
ウリ類,ナス,ゴボウおよびフキに寄生するS. fuligineaの相互の関係を明らかにするため,形態観察および接種試験を行い,次の結果を得た。
1. メロン,キュウリ,セイヨウカボチヤ,ユウガオにそれぞれ寄生する菌は,ほぼ同じ寄主範囲を示した。すなわち,S. fuligineaの寄主とされている19種の植物に接種したところ,メロン,キュウリ,セイヨウカボチャ,ユウガオの他に,ヒマワリ,コスモス,ヒャクニチソウ,ホウセンカなどに発病がみられた。
2. スイカに寄生する菌は,メロンなどに寄生する菌とほぼ類似した寄主範囲を示したが,スイカに激しく発病したところが,メロンなどの菌とは異なっていた。
3. ナス,ゴボウおよびフキにそれぞれ寄生する菌は,それぞれの原寄主のみに激しい発病が認められた。
4. 形態観察の結果,ナスに寄生する菌の分生胞子の長径は,メロンなどの菌に比べて若干長い傾向がみられたが,その他の植物に寄生する菌の間には顕著な差異は認められなかった。
5. 以上の結果から,供試したS. fuligineaは寄生性の差異によって,(1) メロン,キュウリ,セイヨウカボチヤ,ユウガオなどのウリ類(スイカ,トウガンを除く)に寄生する系統,(2) スイカに寄生する系統,(3) ナスに寄生する系統,(4) ゴボウに寄生する系統,(5) フキに寄生する系統の5系統に類別することができた。