日本植物病理学会報
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Pseudomonas lachrymansにおけるdihydrostreptomycin耐性の伝達性について
矢野 博藤井 溥向 秀夫福安 嗣昭寺門 誠致伊佐山 康郎
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1979 年 45 巻 2 号 p. 201-206

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抄録
Pseudomonas lachrymansから高頻度に検出されるdihydrostreptomycin (DHSM)耐性の伝達性について検討した。伝達試験は混合培養法を用いた。その結果,供試したDHSM耐性109菌株中,13菌株において,DHSM感受性菌P. lachrymans 7563 (rifampicin耐性)への伝達が顕著に認められた。伝達頻度は,混合培養後急増し,24時間後には10-1であった。この伝達は耐性株の培養ロ液においては認められず,Resistance (R) plasmidの存在が推測された。しかしながら,acriflavine, acridine orange, ethidium bromideおよび,sodium dodecyl sulfateなどの処理によって,耐性脱落株は得られなかった。そこで更に伝達が認められた耐性株75101について,R plasmidの抽出を試みた。抽出方法は,cleared lysate法を用い,agarose gel電気泳動法で分析した。その結果,耐性株には少なくとも2種類のplasmid DNAが存在し,その分子量は,86×106および,58×106 daltonと推定された。しかしながら,これらplasmid DNAは,transconjugantには認められず,またP. lachrymans 7563, P. aeruginosaPAO 9501および,Escherichia coli Cへのtransformationも不成功に終った。以上の結果,DHSM耐性がR plasmidの支配であるか否かについては更に検討を要し,また得られた2種類のplasmid DNAは,“cryptic plasmid”の範ちゅうに属するものと判定せざるを得ない。
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