土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
地球環境研究論文集 第30巻
異なる気候変動シナリオに基づく地中熱ヒートポンプシステムの100年性能予測
阪田 義隆明山 雄真葛 隆生長野 克則
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2022 年 78 巻 5 号 p. I_179-I_187

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抄録

 本研究は,寒冷地(札幌)と温暖地(東京)に立地する事務所ビルに導入する地中熱ヒートポンプ冷暖房システムを対象に,3つの気候変動シナリオを想定した2001~2100年までの100年間における性能をシミュレーションし,地中熱利用の長期的な優位性について考察した.各シナリオの気象推定値は月別値から時別値へ変換することで熱負荷を計算した.地中温度は地表面熱・水収支を考慮した境界条件を与え,採放熱する垂直管と水平管に対応した深における値を推定した.その結果,20年毎の平均期間成績係数は札幌では暖房・冷房,垂直・水平管とも将来的に高くなるが,東京では特に暖房時の熱負荷がシステムの稼働に必要な消費電力に比べ小さくなりすぎ将来的に低下する結果となった.シナリオの違いによる値は札幌では0.1~0.2以下に留まるが,東京の暖房時には0.7程度と大きく,将来予測における不確実性を示す.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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