日本植物病理学会報
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Pseudomonas andropogonisによるチューリップ黒腐病
西山 幸司草葉 敏彦太田 光輝名畑 清信江塚 昭典
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1979 年 45 巻 5 号 p. 668-674

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抄録

富山県で発生しているPseudomonas sp.によるチューリップ黒腐病の病原細菌の種名を明らかにするため,分離細菌14菌株に対照としてP. andropogonisP. woodsiiを各1菌株加えて細菌学的性質と病原性を調べた。供試16菌株は二,三の遅反応を除くと約60項目の細菌学的性質が一致し,既往の両菌種の記載とも一致した。病原性については,それぞれの原宿主植物チューリップ,ソルゴーおよびカーネーションの間の交互接種によりいずれの組合せでも容易に発病し病徴にも違いがなかった。
対照の2菌種には国際細菌命名規約上の優先順位がないので,同規約の規則42に従ってP. andropogonisを正名に選び,P. woodsiiをその異名とする。よって,チューリップ黒腐病細菌はP. andropogonis (Smith 1911) Stapp 1928と同定される。
病名は先の提案通り黒腐病(bacterial black rot)とする。

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