日本植物病理学会報
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菌糸融合群を異にするRhizoctonia solani菌のGC含量比較
国永 史朗横沢 菱三
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1980 年 46 巻 2 号 p. 150-158

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抄録
Rhizoctonia solaniの同一菌糸融合群内または培養型内の菌株の遺伝的類縁性を知る手段として,菌体からDNAを抽出し,その塩基組成を測定した。R. solani 30菌株のDNAのGC (Guanine plus Cytosine)含量は40.9~49.3 mole%の範囲にあり平均45.3mole%であった。同一菌糸融合群内の菌株のGC含量は相互に近い値を示した。また,培養型を異にしても同じ菌糸融合群に属すもの,すなわちAG-1のsasakii typeとweb-blight typeの間,あるいはAG-2-2のrush typeとroot rot typeの間でGC含量には大差が認められなかった。逆に同一培養型とされ菌糸融合群の異なるもの,すなわちroot rot type(IV)とpotato type (IV)の間でGC含量は明らかに異なった。菌糸融合群のうち, AG-1は最も高いGC含量(平均48.8 mole%)を示し,次いでAG-4 (平均47.3 mole%), AG-3 (平均47.1 mole%), AG-5 (平均45.2mole%), AG-2-2 (平均44.6 mole%), AG-2-1 (平均43.7 mole%), AG-6 (平均41.8 mole%), AG-BI平均41.4 mole%)であった。以上のことからR. solaniの同一菌糸融合群内の菌株は,遺伝的に非常に近縁であることが示唆された。
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