抄録
1 イネいもち病菌の葉身上の病斑または罹病節からの離脱の状況や,静かな空気中での離脱後の運動を観察するため,チンダル現像の観察法を利用した。
2 暗箱内の空気を水分飽和の状態にし,スリットより光束を病斑部に照射し,横窓より観察ならびに写真撮影できる装置を用いた。
3 光照射し,モータードライブ方式の35mmカメラ(55mmまたは105mmレンズ,接写用リング使用)またはムービーカメラ(接写レンズ使用)で高感度フイルムを用いて飛跡を撮影し,増感現像した。
4 離脱は単独分生胞子で起こり,その誘因は自然完熟によるものと観察された。
5 落下の初速は35mmカメラ方式によると, 4.0~8.7mm/sec,平均6.7mm/sec,ムービーカメラ方式では6.1~9.1mm/sec,平均7.0mm/secであった。
6 落下の初速はMcCubbinの経験式より得られる値に近く, Stokesの式により得られる値より小さかった。