日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
イネいもち病菌分生胞子の病斑からの離脱と落下の飛跡および速度
清水 節夫
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 46 巻 3 号 p. 322-328

詳細
抄録
1 イネいもち病菌の葉身上の病斑または罹病節からの離脱の状況や,静かな空気中での離脱後の運動を観察するため,チンダル現像の観察法を利用した。
2 暗箱内の空気を水分飽和の状態にし,スリットより光束を病斑部に照射し,横窓より観察ならびに写真撮影できる装置を用いた。
3 光照射し,モータードライブ方式の35mmカメラ(55mmまたは105mmレンズ,接写用リング使用)またはムービーカメラ(接写レンズ使用)で高感度フイルムを用いて飛跡を撮影し,増感現像した。
4 離脱は単独分生胞子で起こり,その誘因は自然完熟によるものと観察された。
5 落下の初速は35mmカメラ方式によると, 4.0~8.7mm/sec,平均6.7mm/sec,ムービーカメラ方式では6.1~9.1mm/sec,平均7.0mm/secであった。
6 落下の初速はMcCubbinの経験式より得られる値に近く, Stokesの式により得られる値より小さかった。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top