日本植物病理学会報
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Xanthomonas campestris pv. citriの産生する繊維状ファージ
上運天 博古場 潤一脇本 哲
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1980 年 46 巻 4 号 p. 526-532

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抄録

Xanthomonas campestris pv. citriから放出されている二種類の繊維状ファージに対してXCf1とXCf2と命名し,それらの生物学的な諸性質をX. campestris pv. oryzaeのファージXfおよびXf2と比較しながら検討した。ファージXCf1およびXCf2はそれぞれ分離株N6101-1およびN6107から放出され,培養液中の最高濃度はともに約105PFU/mlに達した。これらのファージはX. campestris pv. citriのみを侵すことができ,実験に供した他のxanthomonads属菌は侵すことができなかった。両ファージの粒子の長さはほぼ同じで800~1,100nmであった。両ファージは熱に対して比較的安定で, 80C, 10分間処理した後もなお活性を維持していた。しかし,クロロホルム,メチルアルコール,エチルエーテル,アセトン等の有機溶媒によって不活化された。両ファージの抗血清は相互に中和反応を示し,血清学的に密接な関係にあることが明らかになった。また,抗XCf1血清はXfを容易に不活化した。しかし,逆に抗Xf血清はXCf1に対しては全く不活化作用を示さなかった。XCf2とXfとの間には血清学的に弱い相互関係が認められたが, XCf1およびXCf2とXf2との間には血清学的類縁関係は全く認められなかった。実験に供したX. campestris pv. citri 33菌株中, 10菌株がXCf1を,また4菌株がXCf2を産生した。

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