日本植物病理学会報
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Xanthomonas campestris pv. campestrisファージの諸性質について
渡辺 実内藤 きよ美金子 邦夫南波佐間 仁細川 大二郎
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1980 年 46 巻 4 号 p. 517-525

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抄録

アブラナ科植物黒腐病菌のファージ3系統(S, Kおよび'76ファージ)をカンラン,ハナヤサイ,カブの罹病葉から分離し,その基礎的諸性質を調査した。Sファージの形態はオタマジャクシ型で,頭部は約50×60nmの多面体,尾部は長さ約110nm,幅約10~12nmであった。SおよびKファージの宿主範囲は,供試Xanthomonas属細菌のうちアブラナ科植物黒腐病菌のみを侵し,その他のカンキツかいよう病菌,カボチャ褐斑細菌病菌,イネ白葉枯病菌,インゲン葉焼病菌,核果類せん孔細菌病菌は侵さなかった。また, SおよびKファージは黒腐病菌の分離株に対して異なる宿主範囲を示す2種の系統であった。Sファージの不活化温度は蒸留水中では53C, 10分間と最も低く,ジャガイモ輪腐病菌液体培地中では65C, 10分間で,かなり高かった。Sファージの経時的不活化状況は,蒸留水(pH 5.4)中で最も不安定であり,ジャガイモ輪腐病菌液体培地およびりん酸緩衝液(ともにpH 7.0)中ではかなり安定であった。異なるpHの緩衝液中ではpH 7.0で最も安定であり, pH 4.9およびpH 9.1では不安定であった。上記3種の分散媒および5種のpHの緩衝液中で, Sファージは28Cより5 Cで安定であった。数段階の温度条件下での一段増殖実験の結果から, '76ファージの増殖には28Cが最適であり,単数感染の場合に潜伏期75分間,上昇期40分間,新生ファージ平均放出数13であった。温度が30C,あるいは26C以下のときは28Cの場合より潜伏期が長びき,新生ファージ平均放出数は小となった。

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