日本植物病理学会報
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トリシクラゾールのイネいもち病防除作用について
柴 保子永田 利美
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1981 年 47 巻 5 号 p. 662-667

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抄録
イネいもち病防除に有効な浸透性殺菌剤トリシクラゾールの作用性について検討した。
1. in vitroでは,菌糸生育,胞子発芽および付着器形成を, 125ppm以下の濃度ではほとんど阻害しなかったが, 10~20ppmの低濃度での茎葉散布でほぼ完全にいもち病の発病を抑えた。
2. 箱育苗で箱当り2.5gを移植1週間前に土壌施用すると,移植後約1か月まで十分な効果が認められた。
3. 本剤の簡易検出法を利用して,イネ体内の薬剤濃度を検定したところ,移植1か月後のイネで約3~8ppmと推定された。
4. 上記イネを石油エーテルで分画したところ,その塩基性画分に胞子発芽を強く抑制する作用を見い出した。同画分からはトリシクラゾールは検出されなかった。
以上の結果,トリシクラゾールを施用したイネ体内に抗菌的物質が生成される可能性が示唆された。
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