日本植物病理学会報
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47 巻, 5 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 佐野 輝男, 佐々木 真津生, 四方 英四郎
    1981 年 47 巻 5 号 p. 599-605
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    HSVとCPFVは寄主範囲とその病徴がきわめてよく似ており区別がつかなかったが, PSTVは明らかに異なっていた。
    HSVはトマト9品種全てに無病徴感染し,トマト5品種のHSV濃度はいずれもキュウリ(四葉)に比べて低かった。トマト品種ではローマと早生だるまのHSV濃度が高かった。またHSVのトマトでの種子伝染は認められなかった。
    HSVとCPFVに罹病したトマト(Rutgers)の核酸抽出液は, 5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動で同様の泳動パターンを示し,また活性のピークの現われる位置もほぽ同じであった。しかしPSTVの泳動パターンおよび活性の現われる位置は異なっていた。
  • 美濃 羊輔, 酒井 隆太郎, 田村 聡
    1981 年 47 巻 5 号 p. 606-610
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    チモシー斑点病菌Cladosporium phleiより調製した酵素により,クロロゲン酸はコーヒー酸とキナ酸に加水分解され,さらにコーヒー酸は脱炭酸されて3,4-dihydroxystyreneとなった。これらクロロゲン酸加水分解酵素およびコーヒー酸脱炭酸酵素は誘導酵素ではなかった。
  • 松本 勤
    1981 年 47 巻 5 号 p. 611-617
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリ緑斑モザイクウイルス-スイカ系(CGMMV-W)に対する抗体を,免疫方法を違えてウサギに産生せしめ,免疫過程におけるIgMとIgG特異抗体の相対的な活性の推移を補体結合反応によって比較した。IgM特異抗体の活性は,免疫方法に関係なく,免疫開始後3週間目ではIgG特異抗体とほぼ同じか,やや低い程度であったが, 4週間目には急速に低下した。一方, IgG特異抗体の活性は免疫開始後3週間目よりも4週間目の抗血清で上昇した。したがって,本ウイルスに対するより多くのIgM特異抗体を得るためには,早く抗体価が上昇する静脈注射によってウサギを免疫し,免疫開始後ほぼ最高抗体価に達する3週間目の早い時期に抗血清を得てIgMを調製すると有利である。また, IgG特異抗体は,いずれの免疫方法においても,免疫開始後4週間以上経過して得られた抗血清から調製すると有利である。
  • 後藤 正夫, 山中 勝司
    1981 年 47 巻 5 号 p. 618-626
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    健全なナツミカン葉細胞間汁液(IF)中に見出される21種のアミノ酸について,かいよう病菌X. campestris pv. citriの感染に伴う濃度変化を定量的に調べ,高濃度の主要アミノ酸について,病菌増殖との関係を調べた。本病菌は増殖にメチオニンを必須成分として要求した。その最適濃度は0.05~1.0μmol/mlで, IFはこれに匹敵するメチオニンを含有した。メチオニンの存在下でアスパラギン酸,アスパラギン,グルタミン酸,パリン,ロイシン,プロリン等がIF濃度で有効に増殖に利用された。特にプロリンはIFに多量に含まれ,しかも接種後数日で約10倍量に増加する点で,重要な栄養源と考えられた。一方セリンおよびヒドロキシリジンはIF内濃度でかいよう病菌の増殖を顕著に抑制した。病原性菌株は非病原性菌株に比較して低濃度で増殖抑制を受けた。この抑制作用はIF内濃度に相当するメチナニンとプロリンの存在下で解除された。プロリンによるこの増殖抑制の解除は,アラニンの共存下で顕著になり,しかも非病原性菌株よりも病原性菌株に対して効果的に現われた。かいよう病抵抗性のキンカン葉磨砕汁は,ナツミカンに比べてプロリン濃度が低く,セリン濃度は高い数値を示したことから,両アミノ酸の濃度比の相違が,両カンキツのかいよう病抵抗性の差の一因をなしているものと考えられた。
  • 上運天 博, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 5 号 p. 627-636
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    繊維状ファージXf2の感染がX. campestris pv. oryzae N5850菌株の性状に及ぼす影響について検討した。X. campestris pv. oryzae N5850にXf2ファージを感染させて,振盪培養すると,培養液中に放出されるファージ濃度は感染48時間後に最高の約1×1011PFU/mlに達した。33.5Cよりも低い温度ではXf2感染菌の増殖は非感染菌よりもかなり遅れた。しかし,その後,非感染菌と同じか,あるいはそれ以上の濃度に達した。Xf2感染菌は35Cでもある程度,増殖することができたが,非感染菌はほとんど増殖できなかった。30, 33.5および35Cの各温度で72時間振盪培養したXf2感染菌と非感染菌の超薄切片を作成し, Xf2感染による構造的変化を電顕により調べた結果,細胞質では両者の間に著しい差が認められなかったが, Xf2感染菌では菌体表面における小胞の形成または細胞壁の一部が変性あるいは剥離した状態が観察された。イネ葉組織中における増殖については接種後,初期数日間はXf2感染菌の芳が非感染菌に比べて遅かったが,その後,菌数は逆転した。また,同濃度の菌液を接種した場合, Xf2感染菌の方が非感染菌よりも早く病徴を現わし,病斑の長さも大であった。培養ろ液中に含まれるキシラナーゼ,セルラーゼ,リパーゼの活性についてはXf2感染菌および非感染菌の間にほとんど差が認められなかったが,菌体外多糖類の産生量は非感染菌よりもXf2感染菌の方が多く,この産生量と病原力との間の相関が示唆された。
  • 安藤 勝彦, 勝屋 敬三
    1981 年 47 巻 5 号 p. 637-645
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita f. sp. tritici)の人工培養において,培養温度条件は,腐生菌糸の生長速度およびコロニーの性状に影響を与えた。夏胞子感染葉片からの腐生菌糸の生長に対する培養温度の影響に関して, 30Cでは菌糸生長はまったく観察されなかったが, 10~25Cの各試験区においては良好な菌糸生長を示し,培養温度が高くなるに従い菌糸の生長は早くなった。また,栄養生長型コロニー(Vegetative growth colony)における実験でも同様な結果を示し,その最適培養温度は25C付近であった。コロニーの性状に対する培養温度の影響に関して,胞子形成型コロニー(Sporulative colony)は, 15~25Cで形成された。また, 10~15Cの低温条件下では,従来さび病菌の人工培養において報告されていない新しいタイプのコロニーを形成し,胞子生産型コロニー(Reproductive colony)と命名した。胞子生産型コロニーに形成された夏胞子をコムギ幼苗に直接接種した結果,接種7日後に夏胞子堆の裂開が観察された。光は,本菌の腐生生長に対し抑制的に働いた。
  • 岩田 道顕, 関沢 泰治, 岩松 寿子, 鈴木 幸雄, 渡辺 哲郎
    1981 年 47 巻 5 号 p. 646-653
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネを植物ホルモン類で処理した場合のイネ葉組織中におけるパーオキシダーゼ活性の変動と,いもち病発病との関係について調べた。ナーキシン類,エチレンあるいはそれらの前駆物質で処理すると,パーオキシダーゼ活性が増加した。その増加は,接種部位で著しかった。IAAあるいはエチレン処理後に,カイネチンを処理すると,それぞれ単独よりもパーオキシダーゼ活性が増加することが認められた。一方, IAAあるいはエチレン処理後に,アブシジン酸で処理すると, IAAあるいはエチレンによるパーオキシダーゼ誘導作用は抑制された。いもち病の発病は,オーキシン類,エチレンあるいはこれらの前駆物質によって抑制された。IAAあるいはエチレン処理後に,アブシジン酸で処理すると, IAAあるいはエチレンによる発病抑制作用は発現しなかった。IAAあるいはエチレンによるパーナキシダーゼ誘導作用は,フォルマイシンA,シクロヘキシイミドおよびブラストサイジンSによって阻害された。したがってこの誘導作用は,酵素蛋白質のde novo合成を伴う反応であると考えられる。イネいもち病における誘導抵抗性に,植物ホルモン類が重要な役割を果しているものと思われる。
  • 松山 宣明, 高坂 〓爾
    1981 年 47 巻 5 号 p. 654-661
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    非親和性のイネ品種-いもち病菌菌系の組合せに於てPeroxidaseの総活性は接種後24時間以内に急激に増加するのに比べ,親和性の組合せに於ては感染初期では殆んど変化せず,感染後3~5日目にかけて急速に増加し非親和性の場合をはるかに陵駕した。このような経時的変化はageが進んだ下位葉に於て更に急激に起こった。最も高い活性は親和性の組合せで観察され,しかも病斑が最も急激に拡大する時期に高かった。同位酵素の活性増は特定の酵素に限られており,感染により特異的に新しい同位酵素が出現することは無かった。活性増の起こる時期,程度を除けば親和性,非親和性に極端な違いは認められない。N肥多施用はいもち病抵抗性を著しく低下させるがPeroxidase活性はN肥の施用量に比例して増加し,最も罹病的な状態の時に最も高い活性を示した。以上の結果はPeroxidaseの活性増が単なる細胞の崩壊,生理急変に伴う代謝変動であり抵抗性,抵抗力と直接関係していない可能性を示すとも考えられ,今後の検討が必要である。
  • 柴 保子, 永田 利美
    1981 年 47 巻 5 号 p. 662-667
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネいもち病防除に有効な浸透性殺菌剤トリシクラゾールの作用性について検討した。
    1. in vitroでは,菌糸生育,胞子発芽および付着器形成を, 125ppm以下の濃度ではほとんど阻害しなかったが, 10~20ppmの低濃度での茎葉散布でほぼ完全にいもち病の発病を抑えた。
    2. 箱育苗で箱当り2.5gを移植1週間前に土壌施用すると,移植後約1か月まで十分な効果が認められた。
    3. 本剤の簡易検出法を利用して,イネ体内の薬剤濃度を検定したところ,移植1か月後のイネで約3~8ppmと推定された。
    4. 上記イネを石油エーテルで分画したところ,その塩基性画分に胞子発芽を強く抑制する作用を見い出した。同画分からはトリシクラゾールは検出されなかった。
    以上の結果,トリシクラゾールを施用したイネ体内に抗菌的物質が生成される可能性が示唆された。
  • 崔 在乙, 土屋 健一, 松山 宣明, 脇本 哲
    1981 年 47 巻 5 号 p. 668-676
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌を継代培養して得られた集落変異株は病原力に大きな差異があり,多くの変異株は野生型にくらべて病原力が弱まった。それらの病原力の強弱は集落型,血清学的性質, CaCl2溶液中における自己凝集能, OP2ファージ感受性および粘液多糖質生産能との間に相関が認められた。一般的に血清型Aに属する集落型LwとLhは粘液多糖質生産能が高く,その病原力は強く, OP2ファージ感受性で,血清型B-IIに属する集落型SmとStは粘液多糖質生産能が低く, OP2ファージに抵抗性であり,血清型B-Iに属するLdとLhは両者の中間であった。病原性群と諸性質との間には相関がみられなかった。弱病原力または非病原性の変異株は野生型に干渉し,その病徴発現をさまたげた。イネ白葉枯病菌の継代培養中における病原力の低下は弱病原力または非病原性変異株の出現と増加,およびそれらの変異株による野生型の病徴発現に対する干渉によるものと思われる。
  • 八重樫 博志, 浅賀 宏一
    1981 年 47 巻 5 号 p. 677-679
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 手塚 保行, 勝屋 敬三, 柿島 真
    1981 年 47 巻 5 号 p. 680-684
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 山岡 裕一, 勝屋 敬三, 手塚 保行
    1981 年 47 巻 5 号 p. 685-687
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 福本 文良, 栃原 比呂志
    1981 年 47 巻 5 号 p. 688-690
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    By freeze-drying, the infectivity of crude extracts of plants infected with tomato spotted wilt virus was reduced to 4% of the original infectivity, whereas the preparations containing 1% cysteine maintained 81% of their original infectivity. Freeze-dried preparations of crude extracts or plant tissues lost their infectivity after preservation for 4 months at 4C, while the preparations containing 1% cysteine remained infectious for 24 months.
  • 田村 修, 斎藤 泉
    1981 年 47 巻 5 号 p. 691-693
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 稲葉 忠興, 日野 稔彦
    1981 年 47 巻 5 号 p. 694-696
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 河野 伸二, 仙北 俊弘, 四方 英四郎
    1981 年 47 巻 5 号 p. 697-699
    発行日: 1981/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Rice ragged stunt virus (RRSV) was inoculated to 9 species of Gramineae by viruliferous brown planthoppers, Nilaparvata lugens (Stål). Five species, such as maize, wheat, barley, rye and common millet were infected and developed symptoms, similar to those on rice, e.g. twisted leaf, ragged leaf and stunting. Only 1 out of 10 inoculated oat plants and 2 out of 15 japanese millet plants developed slight ragged leaves about one month after inoculation, but no virus was recovered by back inoculation to rice and by electron microscopic detection. No infection occurred on sorghum and Coix lachryma-jobi var. ƒrumentacea.
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