日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
ホップ矮化ウイロイドの精製
吉川 信幸高橋 壮
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 48 巻 2 号 p. 182-191

詳細
抄録

ホップ矮化ウイロイド(HSV)の精製法を確立するために,他のウイロイドの精製に用いられている3つの方法,即ちDienerらの方法,Sängerらの方法およびNiblettらの方法によってHSV感染キュウリ葉組織から低分子RNAを抽出する条件を比較した。いずれの方法でもほぼ同じ収量の低分子RNA(生葉重1kgあたり30∼32mg)が抽出された。本研究ではDienerらの方法に一部修正を加え,より迅速な精製法を開発した。低分子RNA画分からHSVを単離するためのポリアクリルアミドゲル電気泳動には,7.5%アクリルアミド濃度が最もよく,感染葉1kgあたり30∼40μgのHSVが精製された。精製HSVの感染性希釈限界は10∼100pg/mlであり,50%感染量(ID50)は5ng/mlであった。ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって測定された未変性HSVの見かけ上の分子量は52,000∼69,000ダルトンであり,また8M尿素(60C)の変性条件下では96,000ダルトンであった。5%, 7.5%および10%ゲル電気泳動にかけた変性HSVは,2つのバンドに分かれて検出された。これらをキュウリ検定した結果,両者とも感染性を有していることがわかった。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top