日本植物病理学会報
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インドネシアおよびバングラデシュ産イネ白葉枯病菌の病原性
堀野 修Bernard H. SIWISiddique Ali MIAHTwing Wah MEW
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1983 年 49 巻 2 号 p. 191-199

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抄録

インドネシアとバングラデシュの各地から採集した白葉枯病菌を,日本とIRRIの10判別品種のイネに針接種し病原性を検定した。インドネシア産白葉枯病菌40菌株は判別品種に対する病原性の差異により9つのレースに分類された。これまでインドネシア産白葉枯病菌の約70%は日本のIII群菌と同じレースであるとみなされていたが,供試40菌株中25菌株はフィリピンのIII群菌の病原性と一致し,日本のIII群菌と異なることが明らかとなった。またインドネシア産白葉枯病菌の中には,フィリピン産白葉枯病菌のI, IV群菌,日本産白葉枯病菌のIII, V群菌とそれぞれ同じ病原性を示す菌株が混在していた。バングラデシュ産白葉枯病菌20菌株中6菌株は判別品種に対する病原性によって類別された。6菌株中4菌株は同じレースに所属し,金南風,黄玉,IRRIの5判別品種に病原性を示したが,Te-tep,早稲愛国3号,Java 14には病原性を示さなかった。2菌株は金南風,IR8, IR1545-339, DV85, Cas 209に病原性を示したが,他の判別品種には病原性を示さなかった。他のバングラデシュ産白葉枯病菌14菌株についてはTe-tep, IR20, DV85に対する病原性の有無が明らかでなかった。

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