日本植物病理学会報
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キュウリ斑点細菌病菌に由来するストレプトマイシン耐性の緑膿菌および大腸菌への伝達について
矢野 博藤井 溥寺門 誠致
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1983 年 49 巻 2 号 p. 214-219

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抄録

Pseudomonas syringae pv. lachrymans 75101株のStreptomycin (SM)耐性は,混合培養法によりInc Pl plasmid RP4を保有するPseudomonas aeruginosaに伝達された。この伝達現象はRP4を保有しないP. aeruginosaに対しては認められないことから,可動化によることが推測された。そこでSM耐性を受けとった転移組み換え体P. aeruginosa ML 4600 (RP4+SMr)からプラスミドDNAの抽出を試みたところ,43.5mdalのプラスミドDNAのみ抽出された。抽出されたプラスミドDNAを用い,P. aeruginosa M 1292あるいはEscherichia coli Cの形質転換実験を実施した。その結果,これらいずれの受容菌に対してもSM耐性とRP4の耐性マーカー(KM, TC, APC)が同時に形質転換された。また,これら形質転換体からは転移組み換え体と同様なプラスミドDNA (43.5mdal)が抽出された。これら43.5mdalプラスミドDNAはP. s. pv. lachrymansの染色体に由来するSM耐性遺伝子とRP4 (36mdal)との組み換え体かもしれない。以上の成績からP. s. pv. lachrymansに認められるSM耐性形質は同種菌のみならず,P. aeruginosaおよびE. coliへも伝達が可能であることが明らかにされた。

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