日本植物病理学会報
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ミシマサイコ萎黄病(新称)の発生とその寄主範囲
塩見 敏樹崔 容文杉浦 巳代治
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1983 年 49 巻 2 号 p. 228-238

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抄録

1979年,福井県坂井町の水田転作畑に導入したミシマサイコに萎黄・叢生症状を起す病害が発生した。
自然発病株を電顕観察したところ篩部細胞内にMLO粒子が観察された。ツマグロヨコバイおよびヒメフタテンヨコバイを供して伝搬試験を行った結果,ヒメフタテンヨコバイが本病を伝搬した。
本病の寄主範囲は31科117種の検定植物のうち,21科62種の植物が感染・発病した。また既報のミツバてんぐ巣病,レタス萎黄病やニンジン萎黄病の寄主範囲とくらべて,本病は広い寄生性を示した。また感染・発病した植物のうち,カブ,ダイコン,レタス,シュンギク,セルリー,ホウレンソウなど20科52種の植物からミツバ幼苗への戻し接種は陽性であり,これらの植物が本病の寄主植物になり得ることが判った。
以上のことから,本病害は本邦未記載であり,ミシマサイコ萎黄病(Sickle hare' ear yellows)と呼称することを提案する。

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