日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
アスパラガスから分離されたasparagus virus 1について
藤澤 一郎後藤 忠則土崎 常男飯塚 典男
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 49 巻 3 号 p. 299-307

詳細
抄録

北海道内の外観健全なアスパラガスから検出されたひも状ウイルスの諸性質を調べた。本ウイルスは,汁液接種した13科56種の植物のうち,アスパラガスに全身感染し,C. amaranticolor, C. quinoa, C. capitatum,ツルナ,センニチコウ,ホウレンソウに局部感染した。また本ウイルスはモモアカアブラムシにより非永続的に伝搬され,粗汁液中での不活化温度は50∼55C(10分),希釈限界は2×10-4∼10-3,保存期限は8∼11日(20C)であった。ウイルス粒子は746×13nmで,感染植物細胞の超薄切片像で細胞質中に散在するウイルス粒子が認められ,またpinwheel, bundle, laminated aggregatesなどの細胞質封入体とvesicleからなる膜状封入体が観察された。純化ウイルスを用いて作製した抗血清の力価は1/512(重層法による)であった。本抗血清は,SDSを含む寒天ゲル内で,純化ウイルスおよび感染葉粗汁液と明瞭な反応を示し,重層法ではカブモザイクウイルス,インゲン黄斑モザイクウイルスおよびレタスモザイクウイルスと遠い関係だが反応が認められた。以上の諸結果から本ウイルスは既報のasparagus virus 1の1系統と同定された。

著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top