日本植物病理学会報
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テンサイ種子のColletotrichum dematium f. spinaciaeによる感染
築尾 嘉章杉本 利哉
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1984 年 50 巻 2 号 p. 249-254

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抄録

採種用テンサイに対する炭そ病菌の病原性について検討した。開花初期-盛期の花器の未熟な時期に感染すると,激しいときは株全体が枯死し,軽症のときでも不稔種子を多く形成し,発芽率および1,000粒重の低下をもたらした。開花後期に接種した場合は感染の程度は前者に比べると低かった。しかし種子からの検出率は80%以上で著しく高かった。
本病の発病は採種用テンサイ系統間で差がみられ,TK-76-49/2mm-CMSはNK-169, NK-152に比べて,発病程度が高かった。本病に感染した種子を研磨精選処理を行っても,本菌を完全に除去することはできなかった。このため,種子を〓蓋,果皮および真正種子の3部分に分解して本菌の検出を試みたところ,〓蓋,果皮はもちろん,内部にある真正種子からも分離された。開花盛期のような花器の未熟な時期に本菌に感染した種子は内部の真正種子が結実していない場合が多かった。

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