日本植物病理学会報
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オギで見出された双球状ウイルス
オギ条斑ウイルス(miscanthus streak virus, MiSV)について
山下 修一野仲 信行難波 成任土居 養二與良 清
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1985 年 51 巻 5 号 p. 582-590

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抄録
1978年夏,千葉県松戸市で採集した白色条斑を示すオギ(Miscanthus sacchariflorus)から小球形粒子が対をなす双球状ウイルス(geminivirus)がDN法で見出された。
本ウイルスは病葉から0.1%チオグリコール酸,1%トリトンX-100を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH 5.6)で磨砕抽出,クロロホルム(20%)清澄化,分画遠心,ショ糖密度勾配遠心することで単一バンドとして純化された。
純化ウイルスは核蛋白の紫外線吸収(max 260nm, min 240nm, A260/A280=1.6)を示し,その沈降係数(S20, w)は約75Sであった。ウイルス粒子は大多数が双球状粒子として観察され,その大きさは幅約18nm,長さ約30nmであった。
本ウイルスは同抗血清(力価128倍)と明瞭な単一沈降帯を生じたが,ヨコバイ伝搬のmaize streak virus(ケニア),chloris striate mosaic virus(オーストラリア),ならびにコナジラミ伝搬のcassava latent virus(ケニア),タバコ巻葉ウイルス(tobacco leaf curl virus,日本)などのgeminivirusesと血清学的関係は認められなかった。
本ウイルスは病葉の各種細胞の核,細胞質,液胞内に散在,集塊あるいは結晶して観察された。核,液胞内では双球状粒子からなる層状配列や幾何学的な結晶配列も観察された。
本ウイルスは機械的接種は困難で,媒介虫は明らかでないが,血清試験,粒子形状,細胞内所見から既知のgeminivirusesとは異なると思われ,オギ条斑ウイルス(miscanthus streak virus, MiSV)と命名し,病名をオギ条斑病(streak)とした。
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