日本植物病理学会報
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51 巻, 5 号
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  • 阿久津 克己, 大胡 佳子, 奥山 哲
    1985 年 51 巻 5 号 p. 521-529
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ネギさび病菌(Puccinia allii)を接種した4品種のネギ葉部葉肉細胞で,微細構造的に異なる成分を含むパピラが観察された。パピラ成分はさび病菌の葉肉細胞への侵入前後で異なった。侵入前もしくは侵入時のパピラでは繊維性成分だけが観察されたが,侵入後のパピラでは繊維性成分の外に非繊維性成分が観察された。非繊維性成分は吸器頸部の周囲でよく見られ,時々吸器本体部周辺でも観察され,その出現は吸器形成と密接な関係があると推察された。パピラ形成以前の侵入に対する葉肉細胞内の反応を電顕レベルで調べた。吸器母細胞と接した葉肉細胞で,細胞膜の陥入,細胞質の凝集がしばしば認められた。細胞膜の陥入で発達したparamural space(細胞壁・細胞膜間隙)で,細胞膜あるいは小胞体と連絡した管状もしくは小胞状の器官が集積し,その付近には繊維性物質が観察された。パピラ周辺の繊維性物質と隣接した小胞状器官も観察され,パピラ形成にこれらの器官が関与することが示唆された。
  • イチゴ品種盛岡16号における黒斑病感受性の遺伝解析へのAF-毒素の利用
    山本 幹博, 並木 史郎, 西村 正暘, 甲元 啓介
    1985 年 51 巻 5 号 p. 530-535
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イチゴ黒斑病菌(A. alternata strawberry pathotype)はイチゴの栽培品種中では盛岡16号のみを宿主とし,感染時に宿主特異的毒素(AF-毒素I, IIおよびIII)を生成する。今回は,AF-毒素感受性を指標として,盛岡16号の黒斑病に対する感受性の遺伝子分析を行った。感受性品種として盛岡16号,抵抗性品種として宝交早生を用い,交配によって種子を得た。実生とAF-毒素を用いた感受性検定の結果,感受性と抵抗性は3:1に分離し,感受性が優性であった。しかし,実生を育成し,幼葉に病原菌およびAF-毒素を処理すると,感受性遺伝子をホモに有する個体がヘテロの個体に比べ,病原菌とAF-毒素に高い感受性を示した。感受性遺伝子を持たない劣性個体は,すべての検定において無反応であるか極めて低い感受性しか示さなかった。以上の結果および表現型の分離比から,イチゴ品種盛岡16号における黒斑病感受性はAF-毒素感受性と同一の一対の対立遺伝子に支配される不完全優性として遺伝するものと考えた。なお,今回交配親に用いた,盛岡16号は感受性遺伝子に関してヘテロ,宝交早生は劣性ホモであった。
  • 那須 英夫, 藤井 新太郎, 横山 竜夫
    1985 年 51 巻 5 号 p. 536-545
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    数年前から,岡山県のガラス室栽培ブドウのマスカット・オブ・アレキサンドリアおよびグロー・コールマンの果実に果粉が消失する症状が発生しているが,本症状はブドウすす点病の一症状であることが明らかになった。ブドウのすす点病菌をブドウ,カキおよびリンゴの果実に無傷接種を行った結果,果粉消失および小菌核様の黒色菌糸組織が認められ,またその部分から当該菌が再分離できた。カキ,リンゴのすす点病菌もブドウすす点病菌と同じであった。ブドウ,カキ,リンゴすす点病の病原菌の学名に当てられているLeptothyrium pomi (Montagne et Fries) Saccardoは誤りであり,Zygophiala jamaicensis Masonであることを明らかにした。
    ブドウ,カキ,リンゴのすす点病菌の培地上の諸性質について検討した結果,PSA培地上での菌叢の性質から2つのタイプに分けられた。A型は菌糸の伸長が早く,培地上にらせん状円筒形の分生子柄,中心付近が縊れた2細胞の分生子,小菌核様黒粒を多数形成し,約2か月間経過すると菌核様に発達する場合があった。約6∼28Cで生育し,20∼25Cが生育適温であった。B型は菌糸の伸長が遅く,培地上にA型と同じ形態の分生子柄,分生子は形成するが,小菌核様黒粒を形成しないか,ごくわずかに形成する。10∼28Cで生育し,20∼25Cが生育適温であった。両型ともpH 3-11の広範囲で生育した。
  • 真宮 靖治
    1985 年 51 巻 5 号 p. 546-555
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    感染初期における発病経過との関連で,マツノザイセンチュウの役割を評価するため接種実験を行った。接種後経時的に接種部位(=接種枝)をとり除き,その後の発病経過を追った。4年生のアカマツ,クロマツ苗では,24時間後の接種枝切除でも発病,枯死がみられたが,3日目以後の切除の場合と比べ,病状進展は明らかに遅れた。9年生のクロマツでは,24時間後切除で枯死するものはなかったが,3日目以後の切除では,無切除の場合と変らない発病経過を示した。接種後24時間,3日目とそれぞれの時期において,接種枝から樹体各部への線虫の移動分散が確認されたが,その数はきわめて少なく,また両時期の間での差も認められなかった。一方,接種後の時間経過とともに,接種枝における組織の病態反応はより進行し,接種3日後では24時間後におけるよりも,柔細胞のえ死などについて組織異常の進行は明らかであった。以上の結果から,接種後3日目では,接種枝以外の樹体部分にその後の病状進展につながる病態反応があらわれていたこと,24時間後ではそれが十分でなく,接種枝切除によって発病経過が遅れたり,またそれ以上の進展にいたらなかったことが推測された。樹体内線虫の個体数や分散状況から,こうした病態反応が,接種部位周辺における侵入線虫の定着や活動の影響によって起こるものであり,その反応の程度が時間的経過とともに進行するとの推論を得た。
  • Michael D. BENTLEY, 真宮 靖治, 谷田貝 光克, 志水 一允
    1985 年 51 巻 5 号 p. 556-561
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    マツ樹体に含まれるマツノザイセンチュウの活動を阻害する物質について,化学的性質を明らかにした。1年生枝および2年生枝から抽出した物質の活性は,抵抗性のテーダマツで感受性のアカマツより高かった。この物質の主成分は炭水化物であるが,微量のフェノール性物質を含んでいる可能性もある。分子量は1,500から6,000で,水溶性かつ,強い極性を示し,メチル化により活性を失った。また,激しい条件下での加水分解では活性を失うが,温和な条件下では活性を保持することから,活性基は比較的酸に安定であることがわかった。一連のフェノール性物質,炭水化物標品については,マツノザイセンチュウに対する活動阻害活性は認められなかった。
  • 第2報,混合感染葉からの伝搬
    藤澤 一郎
    1985 年 51 巻 5 号 p. 562-568
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カブモザイクウイルス(TuMV)および,キュウリモザイクウイルス(CMV)に混合感染したカブを接種源として,モモアカアブラムシとワタアブラムシの無翅虫および有翅虫による各ウイルスの健全カブへの伝搬様式を調べた。モモアカアブラムシはTuMVのみを高率に伝搬したが,CMV単独および両ウイルスの同時伝搬はまれであった。ワタアブラムシではCMVの単独伝搬が多く,またTuMV単独および同時伝搬もよく認められた。ウイルス獲得後10分毎に順次検定植物を変えて連続伝搬を調べたところ,モモアカアブラムシは1番目の植物のみにTuMVを単独伝搬するものが多く,ワタアブラムシでも1番目の植物のみにTuMVあるいはCMVを単独伝搬する虫が多かった。また,ウイルスを獲得させた後TuMVあるいはCMVの各抗体をパラフィルム膜法で吸汁させると,TuMV抗体吸汁アブラムシではTuMV伝搬が,CMV抗体吸汁アブラムシではCMV伝搬が著しく阻害された。
  • Susamto SOMOWIYARJO, 佐古 宣道, 野中 福次
    1985 年 51 巻 5 号 p. 569-575
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,ELISAの間接法(第一次抗体を処理しない方法)によりZYMVの検出を試みて,用いるコンジュゲートの種類,牛血清アルブミンの処理法ならびに抽出用緩衝液の種類について検討した。その結果,市販のアルカリホスファターゼを標識したアフィニティ精製抗体〔ヤギ抗ウサギIgG (H+L), KPL社)をコンジュゲートとして用いた場合,ヤギ抗ウサギIgG血清(Miles社)を用いて調製したコンジュゲートと比べ,非特異発色が減じて,被試験区のE405の価も高かった。本法での純化ZYMVの検出限界は,二重抗体法のそれ(5∼10ng/ml)に比べて高い,1-5ng/mlであり,罹病葉汁液でも検出限界は二重抗体法より10倍高い106∼107倍希釈であった。したがって,この市販コンジュゲートを用いる間接ELISA法は圃場試料の診断法として有用であると考えられる。一方,パーオキシターゼを標識した同様なコンジュゲートを用いると,ZYMV罹病葉汁液中に含まれる高い同酵素活性が非特異発色を現わすので,このコンジュゲートは純化ZYMVの検出には良いが,汁液中のZYMVの検出には不適であると思われる。
  • 安藤 康雄, 浜屋 悦次, 鬼木 正臣
    1985 年 51 巻 5 号 p. 576-581
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    チャ輪斑病菌Pestalotia longisetaを接種したチャ枝(品種「やぶきた」)の枯死部分での菌の交代現象について検討した。接種は,P. longisetaの分生胞子懸濁液を茶株面に噴霧後,摘採機により刈り取る方法で行った。接種後3, 10, 20, 30および37日に被害枝から菌の分離を行ったところ,P. longisetaの検出率は,それぞれ85.2, 78.1, 40.6, 47.6, 6.6%と時間の経過とともに低下する傾向を示した。これに対し,チャ赤葉枯病菌Glomerella cingulataのそれは,それぞれ7.4, 15.6, 47.5, 42.2, 86.2%と逆に高くなった。さらに,G. cingulataは被害枝の下部より高率に検出された。一方,被害枝について顕微鏡観察したところ,枝の上方の枯死部ではG. cingulataの分生胞子が多数形成されており,下方の外見上健全な部分ではG. cingulataの分生胞子および付着器が多数みられ,また,表皮細胞内に感染しているのも認められた。以上より,G. cingulataは外見健全な枝の表皮細胞に潜在感染しており,P. longisetaが切口から侵入し,感染部位の枯死とともに活動を開始し,多数の分生胞子を速やかに形成して下部に供給し,下方の健全部はG. cingulataの濃厚感染を受け,結果的にG. cingulataが被害枝上で優勢になっていくものと考えられた。
  • オギ条斑ウイルス(miscanthus streak virus, MiSV)について
    山下 修一, 野仲 信行, 難波 成任, 土居 養二, 與良 清
    1985 年 51 巻 5 号 p. 582-590
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年夏,千葉県松戸市で採集した白色条斑を示すオギ(Miscanthus sacchariflorus)から小球形粒子が対をなす双球状ウイルス(geminivirus)がDN法で見出された。
    本ウイルスは病葉から0.1%チオグリコール酸,1%トリトンX-100を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH 5.6)で磨砕抽出,クロロホルム(20%)清澄化,分画遠心,ショ糖密度勾配遠心することで単一バンドとして純化された。
    純化ウイルスは核蛋白の紫外線吸収(max 260nm, min 240nm, A260/A280=1.6)を示し,その沈降係数(S20, w)は約75Sであった。ウイルス粒子は大多数が双球状粒子として観察され,その大きさは幅約18nm,長さ約30nmであった。
    本ウイルスは同抗血清(力価128倍)と明瞭な単一沈降帯を生じたが,ヨコバイ伝搬のmaize streak virus(ケニア),chloris striate mosaic virus(オーストラリア),ならびにコナジラミ伝搬のcassava latent virus(ケニア),タバコ巻葉ウイルス(tobacco leaf curl virus,日本)などのgeminivirusesと血清学的関係は認められなかった。
    本ウイルスは病葉の各種細胞の核,細胞質,液胞内に散在,集塊あるいは結晶して観察された。核,液胞内では双球状粒子からなる層状配列や幾何学的な結晶配列も観察された。
    本ウイルスは機械的接種は困難で,媒介虫は明らかでないが,血清試験,粒子形状,細胞内所見から既知のgeminivirusesとは異なると思われ,オギ条斑ウイルス(miscanthus streak virus, MiSV)と命名し,病名をオギ条斑病(streak)とした。
  • 宮本 セツ, 小國 昭信, 宮本 雄一
    1985 年 51 巻 5 号 p. 591-594
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    誘発された弱毒系統の中からSA-3, SC-4, SA-8及びSA-10の4系統を選び,理化学的及び血清学的性質,寄主体内での増殖能,親ウイルスに対する干渉能等を調べた。これらの弱毒系統はいずれも,耐希釈性及び耐熱性は親ウイルスよりも低い傾向を示し,増殖能も一般に低かったが,干渉能は高く親ウイルスの病徴発現を阻止した。又,親ウイルスの抗血清に対する各系統の反応は親ウイルスのそれと大差がなかった。更に,SA-10について詳細に調べた結果,この系統は好高温性の特徴を有しており,25C下の増殖能は比較的低く病徴をほとんど現わさないが,35C下での増殖能はかなり高く,親ウイルスによるものとは明らかに異なる病徴を発現した。
  • 松山 宣明, 矢原 三知代, 脇本 哲, 窪田 周平
    1985 年 51 巻 5 号 p. 595-598
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    含硫アミノ酸および一部の含硫化合物は,R. solaniの菌核形成を阻害する。化合物の構造と阻害作用の関係を明らかにするため,系統的に合成された1, 3-dithiol誘導体40種について検討した(松山ら,1984,矢原ら,1985)。これらの誘導体の作用は複雑で,構造によって促進的に働く場合と抑制的に働く場合がみられた。抑制効果を示した24種の化合物の内,1, 3-dithiane-2-thione構造を有するものの作用は強く,150-130ppmの濃度で菌糸の生育および菌核形成をほぼ完全に抑制した。しかし,50ppmでは菌糸生育は抑制せず菌核形成のみを抑制する場合が認められた。
  • 宮本 セツ, 宮本 雄一
    1985 年 51 巻 5 号 p. 599-601
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    根を切除して茎植物としたN. rusticaの茎下部からこれらの薬剤を吸収させ,TMV感染に対するこの植物の反応に及ぼす影響を調べた。ポリアクリル酸は,薬害を起こさない1mg/ml以下の濃度では,N. rusticaの反応に対し何ら影響を与えなかった。しかし,Samsun NN, Xanthi-ncタバコに対しては,以前の報告1)にあるように,局部病斑数と病斑サイズを減少させた。ベノミルは,0.25∼1mg/mlの濃度範囲では,N. rusticaに生ずる局部病斑数には影響しなかったが,局部病斑と頂端えその発現時期を早める傾向を示した。ベノミルは又,Samsun NNタバコの局部病斑形成には何ら影響を与えなかったが,これまでの報告3)にあるように,Samsumタバコのモザイク病徴の発現を阻止した。
  • 加納 健, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1985 年 51 巻 5 号 p. 602-605
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    関東各地(東京,埼玉,栃木)で採集した,葉に斑紋症状を呈するジャガイモ20株より,DN法で径約30nmの小球形ウイルス粒子が見出された。病株はときに明瞭なモザイクや奇形を新葉に,ラインパターンを下葉に呈した。このうち1分離株について諸性状を調べたところ,汁液接種で8科24種の植物に感染し,ササゲ,インゲンマメで全身感染した。ジャガイモでは感染が接種葉に止ることが多く,全身感染は稀であった。本ウイルスはモモアカアブラムシによりNicotiana glutinosaからジャガイモ,N. glutinosaへ非永続伝搬され,罹病葉粗汁液を用いた寒天ゲル拡散法による血清試験では,CMV-Yの抗血清とよく反応し,CMV-Lのバンドと連結一致した。感染ジャガイモ葉の各種細胞の細胞質では散在,集塊した粒子が多数認られ,液胞内では結晶配列する粒子が観察された。以上から,本ウイルスはキュウリモザイクウイルスのマメ科系(CMV-L)と同定された。
  • 加納 健, 難波 成任, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1985 年 51 巻 5 号 p. 606-612
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    東京都で採集した葉脈透化,斑紋,縮葉などを示すトマトよりラブドウイルスが見出された。桿菌状あるいは弾丸状の粒子(240-250×86-88nm)は,迅速なPTA染色またはグルタールアルデヒドを用いた前固定処理によりDN法で容易に検出できた。本ウイルスは汁液接種で3科7種の植物に感染し,Nicotiana glutinosa, N. rustica,ペチュニアに葉脈透化や葉脈黄化を示した。Datura stramonium, Chenopodium murale,ツルナには局部感染した。本ウイルスはセライトろ過,ショ糖密度勾配遠心などで純化され,沈降係数は約1,040Sであった。感染植物において粒子は各種細胞の核膜間隙,細胞質の膜構造内に多数認られ,核質内には幅43∼47nmのnucleocapsidも観察された。以上より,本ウイルスは未記載と思われたので,トマト葉脈透化ウイルス(tomato vein clearing virus)と命名し,病名を葉脈透化病とした。
  • 奥 尚, 山下 修一, 土居 養二, 西原 夏樹
    1985 年 51 巻 5 号 p. 613-615
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A culture of cooksfoot powdery mildew fungus (Erysiphe graminis DC.; culture D1) was isolated at Tokyo in 1985. No cleistothecium was observed in this fungus as previously described in Japan. The results of inoculation tests to 11 species from 8 genera of gramineous plants revealed that the host range of the fungus was limited to Dactylis sp.. This fungus was identified as a new type of forma specialis, E. graminis f. sp. dactylidis.
  • 大津 善弘, 五味 唯孝
    1985 年 51 巻 5 号 p. 616-622
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    石垣島でオガサワラスズメノヒエのモザイク病株から分離されたウイルスはイネ科13種のうち12種に全身感染し,サトウキビの判別用3品種に軽微なモザイク,CP31-588にはSCMV-A特有の退緑斑点を生じ,26∼38C下ではトウモロコシ‘中玉’で接種4∼12日後に高濃度に達した。本ウイルスはR. maidisA. gossypiiにより非永続伝搬された。部分純化したウイルスは長さ750-780nmの粒子が多く,ウイルスを家兎に注射して得た抗血清は微滴法による力価が512倍で,寒天ゲル内拡散法により罹病‘中玉’汁液と反応し,寄主蛋白の沈降線と明瞭に区別できるウイルスによる沈降線を生じた。本ウイルスは米国のSCMV-A抗血清と微滴法により256倍まで反応した。以上の結果,本ウイルスをSCMV-Aと同定した。A系統のわが国での発生記録はこれが初めてである。
  • (I) Pucciniastrum boehmeriaeによるベゴニアさび病
    柿島 真, 山本 敏夫, 田上 征夫
    1985 年 51 巻 5 号 p. 623-626
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1982年6月三重県桑名市で温室栽培のベゴニアに初めてさび病の発生が認められた。野外調査,接種試験などから,このベゴニアさび病は長野県でイラクサ科のコアカソ上に自然発生しているさび病と同一のものであることを明らかにし,また,病原菌の形態観察の結果から,この病原菌をPucciniastrum boehmeriae P. et H. Sydowと同定した。
  • 山下 修一, 土居 養二, 與良 清, 岡本 康博, 藤井 新太郎
    1985 年 51 巻 5 号 p. 627-631
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A previously undescribed rhabdovirus was found from East Indian lotus (Nelumbo nucifera) showing streak on rootstalks and often chlorotic or ring spots on leaves, collected at Okayama prefecture in 1977. The rhabdovirus, ca. 90×300-340nm, having helical nucleocapsid with a pitch of 4.5nm, was detected in dip, partially purified and thin-sectioned preparations. Intracellular virus particles were observed in the nucleus and cytoplasm of various cells. Nucleus of cells infected with the virus was characterized by the development of nuclear viroplasms. It suggested that the virus particles were maturated at the inner nuclear membrane and then passed through ER membrane into the cytoplasm. Since this is the first report of the virus isolate from Nymphaeaceae, as far as we know, the virus was designated lotus streak virus (LSV).
  • グロリオーサ白斑ウイルス(gloriosa fleck virus),グロリオーサ条斑モザイクウイルス(gloriosa stripe mosaic virus)ならびにキュウリモザイクウイルス(cucumber mosaic virus)について
    荒城 雅昭, 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1985 年 51 巻 5 号 p. 632-636
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Three viruses were found from gloriosa (Gloriosa rothschildiana), cultivated at Chiba in 1979-1980, showing leaf symptoms of fleck, stripe mosaic or mottling. A rhabdovirus, ca. 69×316nm, having helical nucleocapsid with a pitch of 4.5nm, was consistently detected in dip and thin-sectioned preparations from the fleck plants. Nucleus of infected cells was characterized by the development of nuclear viroplasms. It suggested that the virus is a rhabdovirus of nuclear multiplication type. As such rhabdovirus has been so far undescribed in Liliaceae, the virus was designated as gloriosa fleck virus (GlFV). A potyvirus, ca. 13×760nm, accompanying cytoplasmic inclusions was detected from stripe mosaic or mottling plants. The virus was transmitted only to gloriosa by sap inoculation, and identified to be gloriosa stripe mosaic virus (GSMV) reported in Germany. Cucumber mosaic virus (CMV) was also detected mainly from the plants showing mottling symptoms.
  • 山下 修一, 土居 養二, 與良 清
    1985 年 51 巻 5 号 p. 637-641
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ縞葉枯ウイルス(rice stripe virus, RSV)の細胞内所在様式を自然感染のイネ,エンバク,トウモロコシ病葉の超薄切片を作製し,電顕観察した。RSV粒子はその純化標品の切片で高電子密度の顆粒状あるいは砂状の不斉一な微細構造を示したが,個々の粒子の識別はできなかった。これらの所見は病葉の切片でも同様であったが,これは本ウイルスの特異的な形状が関係しているものと思われた。病葉におけるRSV粒子は各植物とも類似した所在様式を示し,各種細胞で通常細胞質や液胞内に散在あるいは集塊して多量に観察された。細胞質内ではしばしば大集塊が認められ,これがその大部分を占めることもあった。この場合,RSV粒子はリボソームや細胞質基質と容易に区別された。感染細胞ではときに核内に電子密度の低い領域が観察され,その内部にRSV粒子が集塊する像も多く認められた。RSV粒子が原形質連絡糸に近接した例も観察され,これはその細胞間移行を示唆すると思われた。ウイルス粒子のほかに,電子密度の高い特異蛋白質が各種細胞で集塊あるいは束状に観察された。細胞のえ死は各種細胞でごく一般的に認められ,それらにRSV粒子が残存することも多く観察された。
  • カンナ黄色斑紋ウイルス(canna yellow mottle virus; CYMV)について
    山下 修一, 夏秋 知英, 土居 養二, 與良 清
    1985 年 51 巻 5 号 p. 642-646
    発行日: 1985/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new non-enveloped small bacilliform virus of ca. 28×120-130nm was found from canna plant (Canna sp.) showing systemic symptoms of veinal yellowing or necrosis, mottling and stunting collected at Iwai of Ibaragi prefecture in 1978. In thin sections, the virus particles were mainly observed as singles or aggregates in the cytoplasm of phloem cells. Virus-infected cells were also characterized by the development of vesicular structures. Since no small bacilliform virus has been reported from canna so far, the virus was designated as canna yellow mottle virus (CYMV). Small bacilliform viruses may be classified into two groups of cacao swollen shoot virus (CSSV) and orchid fleck virus (OFV) basing on their natures. The CYMV seemed to belong to the CSSV group.
  • 1985 年 51 巻 5 号 p. 648a
    発行日: 1985年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 51 巻 5 号 p. 648b
    発行日: 1985年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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