日本植物病理学会報
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Diaporthe citriによるカンキツ黒点病ならびに軸腐病に関する研究第5報黒点病斑中に生成される抗菌物質の化学構造について
有本 裕本間 保男大澤 富彦
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1986 年 52 巻 4 号 p. 620-625

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抄録
カンキツ黒点病菌(Diaoorthe citri (Faw.) Wolf)の侵入をうけると,それが刺激となってカンキツに自己防衛反応が起こり,黒点病斑が形成される。一方,侵入病原菌は病斑内に封じ込められ,ついには死滅することを明らかにした。病原菌が死滅する理由を知るために一連の実験を行い,カンキツは病原菌の感染により抗菌因子を生成することを見出し,黒点病斑からファイトァレキシン, inhibitor D,を単離した。本物質は物理化学的諸性質ならびに黒点病菌に対する抗菌活性が標品と一致することから.その化学構造は6, 7-dimethoxy coumarin (scoparone)と同定された。
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