日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
Pestalotia longiseta Spegazziniによるチャ新梢枯死症の発生とその感染時期および感染部位
堀川 知廣
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 52 巻 5 号 p. 766-771

詳細
抄録
チャ新梢枯死症の発生について,輪斑病菌の役割,感染時期,感染部位について検討した。2種の輪斑病菌P. longiseta, P. theaeをやぶきたに接種したところ,本品種に病原性の強いP. longisetaでは新梢枯死症が発生したが, P. theaeでは発生しなかった。P. longisetaを抵抗性品種であるやまかいに接種しても本症は発生しなかった。本症の発生した枝の病斑部より菌を分離すると,初期病斑からはP. longisetaが高率に分離されたが,拡大した大型の病斑部ではP. longisetaの分離率は低下し, G. cingulataの分離率が高くなった。しかし, G. cingulataを接種しても本症は発生しなかった。新梢枯死症の原因となるP. longisetaの感染部位は茎と葉柄の付着部から生じており,なかでも包葉および不完全葉の付着部から病斑の生じている比率が高かった。P. longisetaを新芽の生育期の種々の時期に接種すると,包葉または不完全葉の離脱しやすい時期に当たる第2~4葉の開葉期の接種で最も新梢枯死症の発生が多くなった。以上のことから,新梢枯死症はP. longisetaが新芽の生育期に茎と葉柄の付着部,特に包葉または不完全葉の付着部に生じた傷口から感染して初期病斑を形成し,これをG. cingulataがさらに拡大することによって発生するものと考えられた。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top