日本植物病理学会報
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アクリジンオレンジ処理によるイネ白葉枯病菌のXfファージ産生能の除去
上運天 博脇本 哲
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1987 年 53 巻 2 号 p. 262-265

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抄録

イネ白葉枯病菌N5828 (Xf)は繊維状ファージXfを産生し,絶えず菌体外に放出しているが,この産生能に及ぼすアクリジンオレンジ(AO)処理の除去効果を検討し,さらに除去菌の2, 3の性状を原菌と比較した。その結果,N5828 (Xf)は0.5・g/mlのAO処理により,5.4%の頻度でファージ産生能を失った。それに対し,人為的にXfを感染させ,ファージ産生菌としたN5850 (Xfi)ではAO処理により,73.5%の高頻度でファージ産生能を失い,無処理でも42.2%がファージ産生能を失った。N5828 (Xf)からAO処理によりファージ産生能を失った系統N5828Aの30Cにおける増殖は親株よりもやや早まり,34Cでの増殖能は劣る傾向にあった。菌体外多糖の産生能はファージ産生能の欠落とともに低下し,それに伴い,病原性の低下も見られた。

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