抄録
灰色かび病菌(Botrytis cinerea)のベノミル感性菌・IPCR-1 (MIC<3ppm)をPSA培地で予め培養し,その菌叢の中心部にベノミル耐性菌・IHES-3 (MIC>3,000ppm)菌糸体片を接触・培養した後,IPCR-1菌叢より菌糸体片を採取し,ベノミル添加培地上で耐性を検定した。ベノミル耐性を示す菌糸体片(PH-1)が検出された。PH-1は,ベノミル耐性(MIC=1,000ppm),菌叢の形状,生育速度,菌糸の形状,核の配列様式,キュウリ葉に対する病原性が,IPCR-1, IHES-3菌株と異なり,ほぼ両菌株の間に位置した。PH-1の性質は,継代培養に因って変化はみられず,安定していた。次にIPCR-1とIHES-3の菌叢接触部を光顕観察した結果,菌糸融合が観察された。両菌株の菌糸融合についてスライドグラス上で詳細に調べた結果,6タイプの融合(接合菌糸による胞子間,胞子・発芽管間,発芽管間,発芽管・菌糸間,菌糸間の融合と菌糸間の直接融合)が認められ,その頻度は2.5%であった。融合した菌糸細胞で,核の移行は観察されたが,核融合の有無は確認できなかった。