抄録
イネの菌核病病斑から得られた灰色菌核病菌および褐色菌核病菌の菌株を菌糸融合により類別し,その結果得られた菌株群と水田内における菌核病の発生との関係について調べた。イネ1株内の同一菌核病による病斑から得られた多くの菌株は,PSA上での菌そう形態がよく類似しており,これらの菌株間の菌糸融合は通常致死反応を伴なわない完全融合であった。したがって,イネの1株内には1個の完全融合群(菌株間の菌糸融合の様式が完全融合である菌株群)が優占して菌核病をひき起こしている場合の多いことが分かった。灰色菌核病や褐色菌核病が水田内で広範囲に発生している場合,水田内の30∼35地点(地点間の間隔は4.5∼5.0m)から得られた菌核病菌の22∼71菌株は,少なくとも9∼34個の完全融合群に類別できた。多くの場合,1個の完全融合群は水田内のごく限られた範囲内に分布する傾向があった。