抄録
ジャガイモ植物の下葉3枚にPhytophthora infestansの菌体壁成分を処理すると,その上葉に,処理後1日目から少なくとも7日にわたって,O-2生成反応が活性化された。また,その活性化に続きスーパーオキシドジスムターゼの活性化がおこり,さらに処理後3日目からペルオキシダーゼの活性が増加した。これらの活性化した葉にP. infestansの親和性レースを接種すると,接種後1∼5時間にわたってO-2生成反応が更に高まり,菌の侵入率並びに病斑形成率は著しく減少した。これらの結果から,全身抵抗性の誘導には活性酸素代謝系の活性化が伴い,これが抵抗性獲得機構に重要な意味を持つものと推察された。