日本植物病理学会報
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53 巻 , 5 号
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  • 道家 紀志, 柴田 俊浩
    1987 年 53 巻 5 号 p. 577-584
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Xanthomonas campestris pv. citri, pv. campestris, pv. pruniおよびpv. vesicatoriaをO-2生成系であるキサンチン-キサンチン酸化酵素反応系に混合すると,強い殺菌効果がみられた。しかし,他に供試したAgrobacterium tumefaciens, Erwinia herbicola, Corynebacterium michiganenseはそのO-2生成系に対して比較的耐性であった。各々の細菌のO-2生成系に対する感受性は,紫外線感受性と正の相関を示し,また,細菌のスーパーオキシドジスムターゼ活性と負の相関を示した。X. campestris pv. citriに対する殺菌作用は,キサンチン酸化酵素の対数濃度と直線的相関を示し,その反応系に加えたスーパーオキシドジスムターゼ及びカタラーゼによって部分的に回復した。本菌は生体内でO-2を増産するメチルビオロジェンに強い感受性を示し,本菌を宿主植物のカンキツ葉に薬害を与えない濃度のメチルビオロジェンと共に注射接種すると,顕著な増殖抑制効果がみられた。また,本菌をスプレー接種したカンキツ葉に,接種後一日以内にこの薬剤をスプレー処理すると,発病が顕著に抑制された。
  • 蔡 煕乗, 道家 紀志
    1987 年 53 巻 5 号 p. 585-590
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ植物の下葉3枚にPhytophthora infestansの菌体壁成分を処理すると,その上葉に,処理後1日目から少なくとも7日にわたって,O-2生成反応が活性化された。また,その活性化に続きスーパーオキシドジスムターゼの活性化がおこり,さらに処理後3日目からペルオキシダーゼの活性が増加した。これらの活性化した葉にP. infestansの親和性レースを接種すると,接種後1∼5時間にわたってO-2生成反応が更に高まり,菌の侵入率並びに病斑形成率は著しく減少した。これらの結果から,全身抵抗性の誘導には活性酸素代謝系の活性化が伴い,これが抵抗性獲得機構に重要な意味を持つものと推察された。
  • 竹中 重仁, 吉野 嶺一
    1987 年 53 巻 5 号 p. 591-597
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    4種の雪腐病菌(Pythium paddicum, P. iwayamai, Typhula incarnataおよびFusarium nivale)とコムギからリボソームを抽出し,SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって,それらのリボソームタンパク質の泳動パターンを比較した。その結果,P. paddicumP. iwayamaiとの間では泳動パターンに差異が認められなかったが,2種のPythium菌,T. incarnata, F. nivaleおよびコムギの間では明らかな差異が認められた。また,P. paddicum, T. incarnataおよびF. nivaleを各々接種したコムギからリボソームを抽出し,それらの泳動パターンを比較した結果,各種罹病コムギから病原菌のリボソームタンパク質のバンドが検出された。これらの結果から,各菌のリボソームタンパク質による本病の診断の可能性が示唆された。
  • 平塚 和之, 難波 成任, 山下 修一, 土居 養二
    1987 年 53 巻 5 号 p. 598-605
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    さび病菌には広く球状ウイルスが存在するが,その性状を解明する目的でメダケ赤衣病菌ウイルス(Stereostratum corticioides virus, StcV)を純化し,理化学的および血清学的性状を調べた。S. corticioidesの冬胞子より磨砕抽出後,トリトンX-100処理,クロロホルムによる清澄化,PEG濃縮,分画遠心ならびにショ糖密度勾配遠心により径約40nmの球状ウイルスが純化された。本ウイルスはショ糖密度勾配遠心で単一バンド,塩化セシウム平衡密度勾配遠心で浮遊密度約1.29g/cm3の中空粒子のバンドおよび約1.39g/cm3の完全粒子のバンドを形成した。ウイルスの外被タンパク質は7.5% SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量約80,000および92,000の2種が分析された。ウイルス核酸は核酸分解酵素処理試験により2本鎖RNAと判定され,1%アガロースゲル電気泳動で分子量約3.5×106と計算された。純化ウイルスを家兎に注射し抗血清を作製した。本抗血清は採集年,採集地の異なるメダケ赤衣病菌のウイルスと免疫電顕法で明瞭な反応が認められ,同一ウイルスが広く分布することが判明した。一方,形状の類似するネギ赤さび病菌(Puccinia allii),オオムギ小さび病菌(P. hordei),ススキさび病菌(P. miscanthi),コムギ赤さび病菌(P. recondita)およびアスターさび病菌(Coleosporium asterum)の各ウイルスとは反応が認められず,StcVと上記5種のウイルスとは血清学的に異なるものと考えられた。
  • 吉川 正巳, 横山 竜夫
    1987 年 53 巻 5 号 p. 606-615
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1985年6月下旬,京都府綾部市の京都府農業総合研究所薬用植物園で,ヤブカンゾウに褐点∼黄色条斑症状株が発生した。本病は11月中旬まで発生が続き,初め葉の両面に褐色,小型の斑点を形成し,後に鮮黄色条斑を呈し,やがて葉先から褐変枯死する。通常,罹病葉上では病原体は認められなかったが,湿室中で病斑上に密に重り合った菌糸からなる子座と棍棒形∼亜円筒形の分生子形成細胞及びその頂端部に楕円形∼紡錘形,無色,平滑,単室の分生子を出芽的に形成した。分離菌はヤブカンゾウ,ノカンゾウ,ホンカンゾウに有傷接種で病原性を示した。ノカンゾウにも自然発病が認められ,分離菌はヤブカンゾウ分離菌と同様の病原性を示した。単胞子分離菌株はPDA培地上で最初はクリーム色,酵母状を呈し,後に白色菌糸状となり,さらに暗褐色∼黒色となる。生育温度は8∼30C,生育適温は20∼24C付近である。分生子は楕円形∼紡錘形,無色,平滑,単室で出芽的に形成され,しばしば酵母状の増殖をする。以上の形態的特徴とカンゾウ類に対する病原性から,本菌をAureobasidium microstictum (Bubák) W.B. Cookeと同定し,病名として葉枯病を提唱する。
  • 山本 弘幸, 谷 利一
    1987 年 53 巻 5 号 p. 616-621
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エンバク冠さび菌の親和性レースを接種した3品種のエンバク子苗を接種2-4日後に35C, 8時間で処理すると,夏胞子堆形成が著しく阻害された。高温処理の部位は接種部を含んでいることが必須であった。同処理条件は菌体に直接影響して致死効果を示すものではなく,宿主に作用して抵抗性を誘導することが茎の切断処理による実験で確認された。接種5日後には高温処理の影響は現われなかった。高温処理初生葉において,夏胞子堆形成が阻害された場合にはリポキシゲナーゼアイソザイムが特異的に出現することから,本酵素が抵抗性発現に関与すると考えた。
  • 楠木 学
    1987 年 53 巻 5 号 p. 622-629
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    鉢植えにした1年生アカマツ実生苗にマツノザイセンチュウを接種し,その実生苗から接種後経時的,部位別に試料を切り取り,走査型と透過型電子顕微鏡で観察した。茎では接種後3日目頃から形成層や,木部樹脂道の柔細胞に変性が見られた。特に茎の基部では組織変性が早期に,また激しく現れ,線虫の強いセルラーゼ活性が示唆された。これら茎の基部に現れた柔細胞を中心とする変性は,樹全体を枯死に至らしめるに足る規模のものと考えられた。
  • 那須 英夫, 畑本 求, 伊達 寛敬, 藤井 新太郎
    1987 年 53 巻 5 号 p. 630-637
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    岡山県に発生したチュウゴクナシの鴨梨,〓陽慈梨,ニホンナシの愛宕の果実腐敗症状の原因究明を行い,本症状を引き起こす病原菌と,ナシ胴枯病菌,セイヨウナシ尻腐病菌との異同を検討した。ナシの果実腐敗は愛宕,幸水,鴨梨では心腐れ症状,バートレット,ラ・フランス,〓陽慈梨では尻腐れ症状を呈したが,この症状の違いは果実のていあ部の形態の差によるものと考えられた。腐敗果実から高率に分離されたPhomopsis属菌,ナシ胴枯病菌およびセイヨウナシ尻腐病菌をナシの枝,果実に接種すると,いずれの場合も発病が認められた。これらのPhomopsis属菌には,気中菌糸が多く,光照射下で培地が赤紫色を呈する菌株と,気中菌糸が少なく,培地が灰∼緑褐色を呈する菌株に大別された。しかし,柄胞子の形態,大きさなどはいずれもほぼ同様であった。以上のことから,岡山県で発生したナシ果実の腐敗症状はナシ胴枯病の一症状であってP. fukushiiに起因することが判明し,セイヨウナシ尻腐病も同じ病原菌によるものと考えられた。
  • 平塚 和之, 難波 成任, 山下 修一, 土居 養二
    1987 年 53 巻 5 号 p. 638-642
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    野外で分離した灰色かび病菌(Botrytis cinerea) 15菌株についてプラスミド様核酸の探索を行ったところ,3菌株よりそのミトコンドリア分画からプラスミド様DNAが見出された。アガロースゲル電気泳動で,それらの大きさは2∼3kbであった。BCB2株より見出された2.4および2.1kbのバンドは比較的量が多く,電顕で線状分子として観察され,それぞれpBCB201, pBCB202と称した。アルカリアガロースゲル電気泳動ではpBCB201, pBCB202とも未変性下の約2倍の分子量を示し,末端部のヘアピン様構造が推定された。
  • 山崎 貞登, 勝屋 敬三
    1987 年 53 巻 5 号 p. 643-646
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    マツ類こぶ病菌(Cronartium quercuum Miyabe ex Shirai)の冬胞子堆形成コナラ葉片由来の培養菌株を確立するとともに,夏胞子堆形成コナラ葉片及び冬胞子堆形成コナラ葉片由来の培養菌株を無菌のコナラ葉片に接触させ,コロニーの病原性を調査した結果,夏胞子堆形成コナラ葉片由来培養菌株のみコナラ葉片上に夏胞子堆が形成された。また担子胞子由来培養菌株を無菌のアカマツ針葉及び茎組織に接触させ,宿主組織内への菌糸の侵入を観察した。
  • 月星 隆雄, 君ケ袋 尚志, 佐藤 徹
    1987 年 53 巻 5 号 p. 647-649
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トウモロコシ北方斑点病菌のレース判別を行った。本病菌は特定のトウモロコシ系統に輪紋型病斑を形成するレース1,フレック型病斑を形成するレース2および直線型病斑を形成するレース3に分化している。これらレースのアメリカ産菌株をトウモロコシ自殖系統に噴霧接種し,その病斑型から判別品種としてN31およびH93を選んだ。これを用いて,11道県で採集した日本産43菌株のレース判別を行ったところ,37菌株がレース3, 6菌株がレース2と判別され,レース1菌株は発見されなかった。レース3はいずれの調査地域でも優占していたが,北海道ではレース2の分離頻度がやや高かった。次に,交配試験を行ったところ,交配型Aが28菌株,aが1菌株であり,分布に偏りがみられたことから,本病が発生し始めてからまだ間がないと推察された。
  • 高松 進, 一谷 多喜郎
    1987 年 53 巻 5 号 p. 650-654
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    捕捉法,検出植物法および直接接種法を用い,ムギ栽培歴がない水田,畑および山林土壌中における褐色雪腐病菌の有無ならびに種類を検討した。その結果,ムギ栽培歴がないこれらの土壌中にも褐色雪腐病菌が普遍的に生存し,しかも水田には主にPythium paddicumが,畑にはP. iwayamaiが生存することが明らかになった。また,水田転換畑と畑地で発生する褐色雪腐病の病原菌の違いは,それらの土壌中におけるムギ栽培前の病原菌の分布の違いによっておこると考えられた。
  • 岩波 徹, 難波 成任, 山下 修一, 土居 養二, 高橋 次郎, 石井 賢二
    1987 年 53 巻 5 号 p. 655-658
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ブドウ葉巻病罹病樹(品種:セミヨン,カベルネ・ソービニヨン,カベルネ・フラン)の成葉より,ブドウ葉巻ウイルスを純化した。病葉を液体窒素中で磨砕粉末化し,しょ糖クッションを用いた超遠心の後,クロロホルムで清澄化し,しょ糖クッションを用いた分画遠心を2回行って部分純化試料を得た。これを繰り返し行い,集めた部分純化試料を超遠心で濃縮し,さらにしょ糖密度勾配遠心を行い純化試料を得た。純化試料中には長さ約1,500∼2,000nm,幅約11nm,約3.6nmの明瞭ならせん構造を示す屈曲に富むひも状粒子が多数観察された。品種間には収量に差が認められず,また健全樹の葉からは本ウイルスは得られなかった。本ウイルスの形態はclosterovirus subgroup IIのウイルスと考えられているカンキツタターリーフウイルスのそれと明らかに区別された。
  • 中田 昭, 佐野 慎亮, 橋本 章, 早川 公一, 西川 博明, 安田 康
    1987 年 53 巻 5 号 p. 659-662
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    N-(3, 5-dichloro-4-propynyloxyphenyl)-N'-methoxyformamidine (DCPF)およびN-(3-chloro-4, 5-dipropynyloxyphenyl)-N'-methoxyformamidine (CDPF)は,Botrytis cinerea, Cercospora beticola, Venturia inaequalisおよびPseudocercosporella herpotrichoidesのベンズイミダゾール(BI)剤の高度耐性菌に対して高い抗菌活性を示し,BI剤感受性菌に対しては活性がなく,その作用は,BI剤の感受性菌に対する作用と類似していることから,BI剤との間に負相関交差耐性があるものと考えられた。しかし,本化合物は,BI剤の弱耐性菌には活性を示さず,中度および高度耐性菌の中には,本化合物に非感受性の菌株も存在した。
  • 対馬 誠也, 津野 和宣, 茂木 静夫, 脇本 哲, 斉藤 初雄
    1987 年 53 巻 5 号 p. 663-667
    発行日: 1987/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The mode of multiplication of Pseudomonas glumae on/in the rice grains inoculated at booting stage was examined. The total population of P. glumae in the grains at heading time was less than about 107CFU/g fresh weight of grain, but it increased to 108-109CFU/g during 6 days after heading. P. glumae cells densely colonized on the surface of basal part of lodicule and inner surface of lemma were observed under the scanning electron microscope. The bacterial cells invaded into interspaces of host cells of outer epidermis and spongy parenchyma of lemma were also observed in ultra-thin sections of the diseased specimen under the transmission type electron microscope.
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