日本植物病理学会報
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ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)検出のためのモノクローナル抗体の利用
Susamto SOMOWIYARJO佐古 宣道野中 福次
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1988 年 54 巻 4 号 p. 436-443

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抄録

ZYMVに対するモノクローナル抗体(MCA)を作製し,その有用性をELISA法により調べた。4種類の抗体産生ハイブリドーマが産生する腹水中のMCAのサブクラスはすべてIgG2bで,その力価は107~109倍で,培養上清液中でのそれは1/1,000であった。試験した6種類の組合せのELISA法のうち,最高の感度を示したのは,プレートをMCAでコートし,ポリクローナル抗体(PCA)を二次抗体として用いたときであった。この方法は,純化ZYMVで0.1~1ng/ml,カボチャ罹病葉粗汁液中で106~107倍希釈までの検出限界を示した。MCA (ZYMV-45)を間接ELISA法(一次抗体を処理しない方法)で用いると, ZYMVとwatermelon mosaic virus 2を識別できた。したがって,同法にPCAを用いた場合,この2種のウィルスを区別できなかったが,このMCAを用いる方法では,両ウィルスの識別が可能となった。本法により圃場から採集された試料について検出試験を行ったところ, PCAを用いた二重抗体法による判定結果とすべて同一であった。以上の結果は,ウリ科作物の病原potyvirusを区別する場合に,有用な方法を作出したことを明らかにしている。

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