日本植物病理学会報
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Pseudomonas caryophylliによるスターチス萎ちょう細菌病
西山 幸司小林 達男畔上 耕児
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1988 年 54 巻 4 号 p. 444-452

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抄録

1985年8月に高知県下でスターチスが萎ちょうする病気が大発生した。本病は葉が生気を失って萎ちょうし,葉脈が顕著に赤変する特徴がある。また,病植物の根の維管束が褐変し,細菌泥の漏出が観察される。8月下旬の高温期に定植するとすばやく発病するが,気温の低下を待って定植すると発病は遅れる。病勢は11月から停滞し,翌年の4月以降に再び活発となる。
分離細菌25株は均質な細菌学的性質を有し, Type strainを含むカーネーション由来のP. caryophylliの性質と一致した。両者は根部への穿刺接種あるいは断根後に菌液を灌注する方法でスターチスに自然発病の病徴を再現し,カーネーションに萎ちょう細菌病を起こした。したがって,分離細菌をPseudomonas caryophylli (Burkholder 1942) Starr and Burkholder 1942と同定した。
病名は,カーネーション萎ちょう細菌病の例にならい,スターチス萎ちょう細菌病(bacterial wilt of statice)を提案した。

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