日本植物病理学会報
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蛍光顕微鏡観察によるアブラナ科野菜根こぶ病菌休眠胞子の病原性評価法
高橋 賢司山口 武夫
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1988 年 54 巻 4 号 p. 466-475

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抄録

蛍光顕微鏡観察により根こぶ病菌(Plasmodiophora brassicae)休眠胞子の活性を直接測定する方法について検討した。2種類の蛍光色素,カルコフルオール・ホワイトM2R (CFW)と臭化エチジウム(EB)の混合液で休眠胞子を染色後,落射型蛍光顕微鏡(位相差, UV, 油浸)で観察すると,休眠胞子は細胞壁のみが青く染まる胞子(青染胞子)と細胞壁が青くかつ内部が赤く染まる胞子(赤染胞子)に染め分けられた。染色時間は4時間まで胞子の染め分けに影響しなかった。しかし,一定濃度のCFW液に混合するEB液の濃度が高くなるに従って赤染胞子の割合は増加した。胞子の染め分けに適する染色液は, 100μg/mlのCFW液と10~50μg/mlのEB液との等量混合液であった。休眠胞子を40, 50および60Cで熱処理し,染め分けられた胞子の割合を経時的に調べたところ,青染胞子率は40Cでは処理時間にかかわらず変化がみられなかったが, 50と60Cでは処理時間の経過とともに低下した。また青染胞子率の低下は, 50Cより60Cのほうが短時間かつ急激であった。熱処理した休眠胞子を接種源とした罹病植物の発病度を調べたところ,青染胞子率との間に高い正相関が認められた。しかし,発病度は青染胞子率より偏差が大きかった。青染胞子の割合と病原性との間の相関性は,冷凍保存期間が異なる罹病根から調製した休眠胞子においても認められた。これらの結果から,蛍光色素で染め分けられた胞子の割合を蛍光顕微鏡観察で調べることにより,休眠胞子の病原性評価が可能であると判断した。この病原性評価法は,直接的で,さらに簡易かつ正確性などの点で優れていると考える。

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