日本植物病理学会報
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カブモザイクウイルスと重複感染したダイコンにおけるキュウリモザイクウイルス濃度の増大について
佐野 義孝小島 誠
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1989 年 55 巻 3 号 p. 296-302

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抄録
カブモザイクウイルス(TuMV)とキュウリモザイクウイルス(CMV)の重複感染はダイコンに激しいモザイク病を引き起こす。ダイコンにおける両ウイルス間の相互作用について比較・考察を行った。TuMVは,単独感染した場合でもダイコンに軽微なモザイク症状を引き起こしたが,CMV単独の感染植物は無病徴であった。また,これら2種のウイルスを接種された植物は,TuMVの単独感染の場合よりもさらに激しいモザイク症を呈した。間接ELISAにより,ダイコン葉におけるCMVの増殖量はTuMVの存在により高まることが示されたが,一方,TuMVの濃度はCMVとの重複感染による影響をほとんど受けなかった。TuMVと重複感染したダイコンにおけるCMV濃度の増加は,接種葉よりも全身感染した上位葉において顕著に観察されたことから,CMVのダイコン葉における全身的な移行と拡散がTuMVの存在により助長されることが示唆された。
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